不動産査定の種類と向き・不向き。無料と有料の使い分けは?

実は不動産査定にはいくつかの種類があります。

有料の物もあれば無料の物、なぜだか安い、高いではっきり金額差が出る物・・・。

90%以上のケースでは不動産業者による無料の査定で十分なのですが・・・

そんなのわかんない!

という方が当たり前なので、現場から見た不動産査定について徹底解説します。

不動産査定とは?

まず不動産査定は
  • 不動産屋
  • 不動産鑑定士
  • 不動産業者
  • 一般人
  • 遺産分割・財産分与
  • 有料
  • 無料
  • 近隣事例比較法
  • 収益還元法

という形で、誰が(who)どこに(when)いくら(how much)でどの様に(how)査定するかで分類されます。

そしてそれは、不動産査定を必要としている人のニーズによって、適切な選択をするべきものなのです。

それぞれ見ていきましょう。

不動産査定の有料・無料

不動産査定のほとんどが、不動産業者による「無料」査定ですが、有料の査定について説明します。

不動産査定が有料である場合は、不動産鑑定士鑑定を行う場合です。

鑑定査定ですね。

不動産鑑定士が鑑定を行う主なケースとして
  • 競売
  • 財産分与
  • 遺産分割協議
  • 企業間取引の際
  • 公共団体による買収や換地
  • 等があります。


    一般の方について不動産鑑定士が鑑定(査定)を行う必要性があるのは、相続・財産分与などで利害関係者の折り合いがつかない場合に、公的意味合いを持った評価として利用する時になることがほとんどです。

    裁判所や税務署などにその価格の根拠として、問題なく通用する「鑑定」が行われるのです。

    要は第三者に対して、公的に通用する価格を査定するのが、不動産鑑定士による査定なのです。

    査定というよりは「鑑定」といった表現が正しいでしょう。

    一般の方がこの有料の不動産鑑定士の査定が必要になるケースというのは先に述べたように、「相続・財産分与などで利害関係者の折り合いがつかない場合

    つまりモメ事が起こって収集がつかない時と言えます。

    だからといって、不動産鑑定士の鑑定価格が絶対的に正しくて、「実際の流通価格と一致するか?」というと、案外一致しないケースも存在します。

    競売物件なんかの鑑定を行うのも不動産鑑定士ですが、現実的には

    え?競売でなんでこんな金額が高いの?

    なんてことも多々ありますので、実際の流通価格とズレがある場合もある為、本当に困った時に利用するのが正しい選択です。

    それ以外であれば、モメ事が起こって収集がつく場合も含めて不動産業者が行う「無料査定」で十分対応可能です。

    結論:モメ事が起こって収集がつかない時以外は、不動産屋の無料査定

    どこに対する査定か?

    不動産業者が行う不動産査定は、どこに対して行う査定か?で査定価格が変わります。

    これが不動産鑑定との大きな違いですね。

    不動産鑑定士の行う不動産鑑定はブレることはほとんどありません。

    鑑定士個人によって多少の差があるかもわかりませんが、あくまで鑑定評価なので、その数字と根拠は一貫しています。

    方や不動産業者は民間の企業なので、相手や状況によってその査定価格が変わるのです。

    ここでの査定価格が変わる意味合いの主旨としては、その不動産を買う相手によって価格が変わる事を指します。

    1. 仲介で一般のお客さんを見つけてくる場合の査定
    2. 不動産業者が買い取る場合の査定
    3. 財産分与や遺産分割をする場合の査定

    この3つの場合によって、同じ不動産でも査定価格は変わります。

    仲介でお客さんを探してくる場合の査定

    通常不動産屋に査定を依頼するとこの査定になります。

    この場合の査定価格は、
    これくらいなら売れるだろう。売れなければ値段を下げてもらえばいいや!
    的な発想の価格であり、不動産業者の考え方や相場観の違いで価格が前後します。

    何件も査定依頼をすると査定価格の違いが大きく出るケースも多々存在します。

    この場合、「いつか売れるだろう」の査定価格なので不動産屋に責任は無く、悪質な不動産屋になると、ワザと高い価格を算出し、お客さんを取り込もうとするのです。

    景気が悪いからなかなか売れません・・・

    という言い訳が成り立つんですねえ・・・。

    なのでこの場合の査定価格は鵜呑みにしてはダメで、その価格の根拠を明確にしておく必要があるのです。

    「だろう」で物を言うようなら当てにしてはいけないという判断をしましょう。

    不動産会社の営業的側面が強く、高い数字を鵜呑みにしてはいけないのがこのケースです。査定価格≠売却価格であることを認識しておきましょう。

    意外と知られていない不動産の売却方法。これ重要ですよ?


    不動産業者が買い取る場合の査定

    不動産業者が買い取る場合の査定については、何件でも納得いくまで査定を依頼すると良いでしょう。

    文字通り不動産業者が購入する価格の査定ですので、高い金額を提示してくれる会社を探せば良いので、何件でも査定依頼しましょう。

    査定価格は仲介に比べ安くなりますが、その不動産業者の本気の価格が査定価格として出てきます。

    上記の仲介での査定価格が何だったのかと思うくらい、差が出る事もあります。

    必殺技

    その差額を見る事で相手の不動産業者の良し悪しを図る事も出来るので、ぜひ両方の査定を依頼しましょう。

    最初に仲介での査定を依頼し、その後買い取りの査定を依頼しましょう。

    仲介の査定価格が2,000万円で,買い取り不能ってどういう事やねん!

    なんてことが起こるんですねえ。

    この場合実は不動産屋が”買い取り出来ない価値のない物件”だと判断しているという事なのです。

    仮に買い取り価格が1,000万円であれば、1,000万円を利益と考えていたか、実際は1,500万円~くらい(利益率によります)と考えていたかのどちらかという事になります。

    これを数社で行えば、本当の流通価格や、不動産屋の利益が見えてきます。


    財産分与や遺産分割をする場合の査定

    財産分与や遺産分割をする場合の査定については、不動産業者にとっては全く利益にならない話なので、まあまあ適当な査定価格や、依頼主の意向に沿う査定書が出てきます。

    基本的にビジネスにはなりませんので、査定書を有料で作成している会社も見受けられます。

    現実的には財産分与や遺産分割をする場合の査定は、2社以上の査定書をもってお互いの協議の為の基準とするので、依頼主の意向になるべく沿うような査定価格になる事が多いと言えるでしょう。

    そして、その査定によってお互いが納得すれば問題は解決します。

    解決しない場合は前述の不動産鑑定士へ、有料で依頼する事になるのです。

    財産分与や遺産分割は、当事者間でお互いに話し合ってすり合わせていくものなので、根拠がしっかりしていれば不動産屋の査定でも十分に役割を果たすので、上手く利用すべきですね。

    不動産の一括査定が一番威力を発揮するケースと正しい利用法を暴露!



    不動産査定の方法

    主に使われる不動産査定の方法には3種類の方法があります。

    近隣事例比較法と収益還元法、原価法です。

    査定しようとする不動産の特性によってその利用方法を変えていく様になります。

    近隣事例比較法

    対象不動産と条件が近い物件の取引事例を多く収集し、いつくかの事例を選択し、取引価格の事例から必要に応じて対象物件の事情補正や時点修正を行い、地域要因や個別的要因を含め比較評価する方法です。


    (平成14年7月3日全部改正 同15年1月1日から施行 国土交通省)

    III 取引事例比較法

    1.意義

    取引事例比較法は、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める手法である。

    (この手法による試算価格を比準価格という。)

    取引事例比較法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効である。

    2.適用方法

    (1)事例の収集及び選択

    取引事例比較法は、市場において発生した取引事例を価格判定の基礎とするものであるので、多数の取引事例を収集することが必要である。

    取引事例は、原則として近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択する。

    ものとし、必要やむを得ない場合には近隣地域の周辺の地域に存する不動産に係るもののうちから、対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合等には、同一需給圏内の代替競争不動産に係るもののうちから選択するものとするほか、次の要件の全部を備えなければならない。

    ① 取引事情が正常なものと認められるものであること又は正常なものに補正することができるものであること。

    ② 時点修正をすることが可能なものであること。

    ③ 地域要因の比較及び個別的要因の比較が可能なものであること。

    (2)事情補正及び時点修正

    取引事例が特殊な事情を含み、これが当該事例に係る取引価格に影響していると認められるときは、適切な補正を行い、取引事例に係る取引の時点が価格時点と異なることにより、その間に価格水準の変動があると認められるときは、当該事例の価格を価格時点の価格に修正しなければならない。

    点修正に当たっては、事例に係る不動産の存する用途的地域又は当該地域と相似の価格変動過程を経たと認められる類似の地域における土地又は建物の価格の変動率を求め、これにより取引価格を修正すべきである。

    (3)地域要因の比較及び個別的要因の比較

    取引価格は、取引事例に係る不動産の存する用途的地域の地域要因及び当該不動産の個別的要因を反映しているものであるから、取引事例に係る不動産が同一需給圏内の類似地域等に存するもの又は同一需給圏内の代替競争不動産である場合においては、近隣地域と当該事例に係る不動産の存する地域との地域要因の比較及び対象不動産と当該事例に係る不動産との個別的要因の比較を、取引事例に係る不動産が近隣地域に存するものである場合においては、対象不動産と当該事例に係る不動産との個別的要因の比較をそれぞれ行うものとする。

    また、このほか地域要因及び個別的要因の比較については、それぞれの地域における個別的要因が標準的な土地を設定して行う方法がある。

    (4)配分法

    取引事例が対象不動産と同類型の不動産の部分を内包して複合的に構成されている異類型の不動産に係る場合においては、当該取引事例の取引価格から対象不動産と同類型の不動産以外の部分の価格が取引価格等により判明しているときは、その価格を控除し、又は当該取引事例について各構成部分の価格の割合が取引価格、新規投資等により判明しているときは、当該事例の取引価格に対象不動産と同類型の不動産の部分に係る構成割合を乗じて、対象不動産の類型に係る事例資料を求めるものとする(この方法を配分法という。)

    引用元:不動産鑑定評価基準から抜粋




    なんのこと???

    難しい言葉が並んでいてわかりにくいですね。

    最近近くであった売買の価格事例をいくつか集めて、それを基準に採点していくとその物件の価格が出てくるって方法です。

    あそこの土地が〇〇で売れたから、うちのは〇〇〇ってこと?

    大正解です。

    土地の価格を算出する際には、かなりのケースでこの方法が選択されます。

    事例地が新鮮で、多ければ多いほどより正確な価格が出てきます。

    一般的に不動産業者もこの方法で査定をし、最後に自分の出したい価格に補正しています。

    査定を依頼する際には、この補正の部分の妥当性を追求しましょう。

    収益還元法

    収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと予測される純収益の現在価値の総和を求めることによって、対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法です。

    収益還元法は、賃貸用不動産、賃貸以外の事業に要する不動産の価格を求める場合に特に有効で、取引事例比較法や原価法と比べ、合理性が高い方法と言えます。


    (平成14年7月3日全部改正 同15年1月1日から施行 国土交通省)

    Ⅳ 収益還元法

    1.意義

    収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を収益価格という。)

    収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効である。

    また、不動産の価格は、一般に当該不動産の収益性を反映して形成されるものであり、収益は不動産の経済価値の本質を形成するものである。

    したがって、この手法は、文化財の指定を受けた建造物等の一般的に市場性を有しない不動産以外のものにはすべて適用すべきものであり、自用の住宅地といえども賃貸を想定することにより適用されるものである。

    なお、市場における土地の取引価格の上昇が著しいときは、その価格と収益価格との乖離が増大するものであるので、先走りがちな取引価格に対する有力な験証手段として、この手法が活用されるべきである。

    2.収益価格を求める方法

    収益価格を求める方法には、一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法(以下「直接還元法」という。)と、連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法

    (Discounted Cash Flow法(以下「DCF法」という。))がある。

    これらの方法は、基本的には次の式により表される

    (1)直接還元法

    P=a/R

    P:求める不動産の収益価格

    a:一期間の純収益

    R:還元利回り

    (2)DCF法

    不動産鑑定評価基準 第7章参照

    https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha02/03/030703_2/030703_2_3.pdf

    3.適用方法

    (1)純収益

    ① 純収益の意義

    純収益とは、不動産に帰属する適正な収益をいい、収益目的のために用いられている不動産とこれに関与する資本(不動産に化体されているものを除く。)、労働及び経営(組織)の諸要素の結合によって生ずる総収益から、資本(不動産に化体されているものをく)労働及び経営(組織)の総収益に対する貢献度に応じた分配分を控除した残余の部分をいう。

    ② 純収益の算定

    対象不動産の純収益は、一般に1年を単位として総収益から総費用を控除して求めるものとする。

    また、純収益は、永続的なものと非永続的なもの、償却前のものと償却後のもの等、総収益及び総費用の把握の仕方により異なるものであり、それぞれ収益価格を求める方法及び還元利回り又は割引率を求める方法とも密接な関連があることに留意する必要がある。

    なお、直接還元法における純収益は、対象不動産の初年度の純収益を採用する場合と標準化された純収益を採用する場合があることに留意しなければならない。 純収益の算定に当たっては、対象不動産からの総収益及びこれにる総費用を直接的に把握し、それぞれの項目の細部について過去の推移及び将来の動向を慎重に分析して、対象不動産の純収益を適切に求めるべきである

    この場合において収益増加の見通しについて、特に予測の限界を見極めなければならない。

    特にDCF法の適用に当たっては、毎期の純収益及び復帰価格並びにその発生時期が明示されることから、純収益の見通しについて十分な調査を行うことが必要である。

    なお、直接還元法の適用に当たって、対象不動産の純収益を近隣地域又は同一需給圏内の類似地域等に存する対象不動産と類似の不動産若しくは同一需給圏内の代替競争不動産の純収益によって間接的に求める場合には、それぞれの地域要因の比較及び個別的要因の比較を行い、当該純収益について適切に補正することが必要である。

    ア 総収益の算定及び留意点

    (ア)対象不動産が賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産である場合

    総収益は、一般に、賃貸用不動産にあっては、支払賃料に預り金的性格を有する保証金等の運用益、賃料の前払的性格を有する権利金等の運用益及び償却額並びに駐車場使用料等のその他収入を加えた額とし、賃貸以外の事業の用に供する不動産にあっては、売上高とする

    なお、賃貸用不動産についてのDCF法の適用に当たっては、特に賃貸借契約の内容並びに賃料及び貸室の稼動率の毎期の変動に留意しなければならない

    (イ)対象不動産が更地であるものとして、当該土地に最有効使用の賃貸用建物等の建築を想定する場合対象不動産に最有効使用の賃貸用建物等の建設を想定し、当該複合不動産が生み出すであろう総収益を適切に求めるものとする。

    イ総費用の算定及び留意点

    対象不動産の総費用は、賃貸用不動産(アの(イ)の複合不動産を想定する場合を含む。)にあっては、減価償却費(償却前の純収益を求める場合には、計上しない。)、維持管理費(維持費、管理、修繕費等)、公租公課(固定資産税、都市計画税等)、損害保険料等の諸経費等を、賃貸以外の事業の用に供する不動産にあっては、売上原価、販売費及び一般管理費等をそれぞれ加算して求めるものとする。なお、DCF法の適用に当たっては、特に保有期間中における大規模修繕費等の費用の発生時期に留意しなければならない。

    (2)還元利回り及び割引率

    ① 還元利回り及び割引率の意義

    還元利回り及び割引率は、共に不動産の収益性を表し、収益価格を求めるために用いるものであるが、基本的には次のような違いがある。還元利回りは、直接還元法の収益価格及びDCF法の復帰価格の算定において、一期間の純収益から対象不動産の価格を直接求める際に使用される率であり、将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測に伴う不確実性を含むものである。割引率は、DCF法において、ある将来時点の収益を現在時点の価値に割り戻す際に使用される率であり、還元利回りに含まれる変動予測と予測に伴う不確実性のうち、収益見通しにおいて考慮された連続する複数の期間に発生する純収益や復帰価格の変動予測に係るものを除くものである。

    ② 還元利回り及び割引率の算定

    ア 還元利回り及び割引率を求める際の留意

    還元利回り及び割引率は、共に比較可能な他の資産の収益性や金融市場における運用利回りと密接な関連があるので、その動向に留意しなければならない

    さらに、還元利回り及び割引率は、地方別、用途的地域別、品等別等によって異なる傾向を持つため、対象不動産に係る地域要因及び個別的要因の分析を踏まえつつ適切に求めることが必要である。

    イ 還元利回りを求める方法

    還元利回りを求める方法を例示すると次のとおりである

    (ア)類似の不動産の取引事例との比較から求める方法この方法は、対象不動産と類似の不動産の取引事例から求められる利回りをもとに、取引時点及び取引事情並びに地域要因及び個別的要因の違いに応じた補正を行うことにより求めるものである。

    (イ)借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方

    この方法は、対象不動産の取得の際の資金調達上の構成要素(借入金及び自己資金)に係る各還元利回りを各々の構成割合により加重平均して求めるものである

    (ウ)土地と建物に係る還元利回りから求める方法

    この方法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合に、その物理的な構成要素(土地及び建物)に係る各還元利回りを各々の価格の構成割合により加重平均して求めるものである。

    (エ)割引率との関係から求める方法

    この方法は、割引率をもとに対象不動産の純収益の変動率を考慮して求めるものである。

    ウ 割引率を求める方法

    割引率を求める方法を例示すると次のとおりである。

    (ア)類似の不動産の取引事例との比較から求める方法

    この方法は、対象不動産と類似の不動産の取引事例から求められる割引率をもとに、取引時点及び取引事情並びに地域要因及び個別的要因の違いに応じた補正を行うことにより求めるものである

    (イ)借入金と自己資金に係る割引率から求める方

    この方法は、対象不動産の取得の際の資金調達上の構成要素(借入金及び自己資金)に係る各割引率を各々の構成割合により加重平均して求めるものである

    (ウ)金融資産の利回りに不動産の個別性を加味して求める方法

    この方法は、債券等の金融資産の利回りをもとに、対象不動産の投資対象としての危険性、非流動性、管理の困難性、資産としての安全性等の個別性を加味することにより求めるものである。

    (3)直接還元法及びDCF法の適用のあり方

    直接還元法又はDCF法のいずれの方法を適用するかについては、収集可能な資料の範囲、対象不動産の類型及び依頼目的に即して適切に選択することが必要である。ただし、不動産の証券化に係る鑑定評価等で毎期の純収益の見通し等について詳細な説明が求められる場合には、DCF法の適用を原則とするものとし、あわせて直接還元法を適用することにより検証を行うことが適切である。特に、資産の流動化に関する法律又は投資信託及び投資法人に関する法律に基づく評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合には、DCF法を適用しなければならない。

    引用元:不動産鑑定評価基準から抜粋


    難しく方法論が書かれていますが、

    「年間〇〇万円」これだけこの不動産は収益をあげるから、利回りから計算してこれくらいの価値があるだろう

    という観点から算出される価格になります。

    利回りの基準は地域性によって大きく異なりますが、商業用地やアパートやマンションの査定に適している査定法です。

    原価法

    対象不動産の再調達原価を基に不動産を鑑定評価する方法です。

    まず、対象の不動産を、仮にもう一度建築・造成した場合にいくらになるか(再調達原価)を割り出します。

    次に、建築後の経過年数による価値の低下を割引いて(減価修正)現在の価値を推定します。


    (平成14年7月3日全部改正 同15年1月1日から施行 国土交通省)

    II 原価法

    1.意義

    原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を積算価格という。)

    原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効であり、対象不動産が土地のみである場合においても、再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができる。

    この場合において、対象不動産が現に存在するものでないときは、価格時点における再調達原価を適切に求めることができる場合に限り適用することができるものとする。

    2.適用方法

    (1)再調達原価の意義

    再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいう。

    なお、建設資材、工法等の変遷により、対象不動産の再調達原価を求めることが困難な場合には、対象不動産と同等の有用性を持つものに置き換えて求めた原価(置換原価)を再調達原価とみなすものとする。

    (2)再調達原価を求める方法

    再調達原価は、建設請負により、請負者が発注者に対して直ちに使用可能な状態で引き渡す通常の場合を想定し、発注者が請負者に対して支払う標準的な建設費に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して求めるものとする。

    なお、置換原価は、対象不動産と同等の有用性を持つ不動産を新たに調達することを想定した場合に必要とされる原価の総額であり、発注者が請負者に対して支払う標準的な建設費に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して求める。

    ① 土地の再調達原価は、その素材となる土地の標準的な取得原価に当該土地の標準的な造成費と発注者が直接負担すべき通常の付帯費用とを加算して求めるものとする。

    なお、土地についての原価法の適用において、宅地造成直後の対象地の地域要因と価格時点における対象地の地域要因とを比較し、公共施設、利便施設等の整備及び住宅等の建設等により、社会的、経済的環境の変化が価格水準に影響を与えていると認められる場合には、地域要因の変化の程度に応じた増加額を熟成度として加算することができる。

    ② 建物及びその敷地の再調達原価は、まず、土地の再調達原価(再調達原価が把握できない既成市街地における土地にあっては取引事例比較法及び収益還元法によって求めた更地の価格)又は借地権の価格を求め、この価格に建物の再調達原価を加算して求めるものとする。

    ③ 再調達原価を求める方法には、直接法及び間接法があるが、収集した建設事例等の資料としての信頼度に応じていずれかを適用するものとし、また、必要に応じて併用するものとする。



    直接法は、対象不動産について直接的に再調達原価を求める方法である。

    直接法は、対象不動産について、使用資材の種別、品等及び数量並びに所要労働の種別、時間等を調査し、対象不動産の存する地域の価格時点における単価を基礎とした直接工事費を積算し、これに間接工事費及び請負者の適正な利益を含む一般管理費等を加えて標準的な建設費を求め、さらに発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して再調達原価を求めるものとする。

    また、対象不動産の素材となった土地(素地)の価格並びに実際の造成又は建設に要した直接工事費、間接工事費、請負者の適正な利益を含む一般管理費等及び発注者が直接負担した付帯費用の額並びにこれらの明細(種別、品等、数量、時間、単価等)が判明している場合には、これらの明細を分析して適切に補正し、かつ、必要に応じて時点修正を行って再調達原価を求めることができる。



    間接法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等に存する対象不動産と類似の不動産又は同一需給圏内の代替競争不動産から間接的に対象不動産の再調達原価を求める方法である。

    間接法は、当該類似の不動産等について、素地の価格やその実際の造成又は建設に要した直接工事費、間接工事費、請負者の適正な利益を含む一般管理費等及び発注者が直接負担した付帯費用の額並びにこれらの明細(種別、品等、数量、時間、単価等)を明確に把握できる場合に、これらの明細を分析して適切に補正し、必要に応じて時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って、対象不動産の再調達原価を求めるものとする。

    3.減価修正

    減価修正の目的は、減価の要因に基づき発生した減価額を対象不動産の再調達原価から控除して価格時点における対象不動産の適正な積算価格を求めることである。

    減価修正を行うに当たっては、減価の要因に着目して対象不動産を部分的かつ総合的に分析検討し、減価額を求めなければならない。

    ① 物理的要因

    物理的要因としては、不動産を使用することによって生ずる摩滅及び破損、時の経過又は自然的作用によって生ずる老朽化並びに偶発的な損傷があげられる。

    ② 機能的要因

    機能的要因としては、不動産の機能的陳腐化、すなわち、建物と敷地との不適応、設計の不良、型式の旧式化、設備の不足及びその能率の低下等があげられる。

    ③ 経済的要因

    経済的要因としては、不動産の経済的不適応、すなわち、近隣地域の衰退、不動産とその付近の環境との不適合、不動産と代替、競争等の関係にある不動産又は付近の不動産との比較における市場性の減退等があげられる。

    (2)減価修正の方法

    減価額を求めるには、次の二つの方法があり、原則としてこれらを併用するものとする。

    ① 耐用年数に基づく方法

    耐用年数に基づく方法には、定額法、定率法等があるが、これらのうちいずれの方法を用いるかは、対象不動産の実情に即して決定すべきである。

    この方法を用いる場合には、経過年数よりも経済的残存耐用年数に重点をおいて判断すべきである。

    なお、対象不動産が二以上の分別可能な組成部分により構成されていて、それぞれの耐用年数又は経済的残存耐用年数が異なる場合に、これらをいかに判断して用いるか、また、耐用年数満了時における残材価額をいかにみるかについても、対象不動産の実情に即して決定すべきである。

    ② 観察減価法

    観察減価法は、対象不動産について、設計、設備等の機能性、維持管理の状態、補修の状況、付近の環境との適合の状態等各減価の要因の実態を調査することにより、減価額を直接求める方法である。

    引用元:不動産鑑定評価基準から抜粋


    難しい方法論はさておき、短縮すると

    同じ物を建てると2,000万円するとして、5年経過しているから500万円価値が下がっているので1,500万円がこの建物の価格です。

    という形で建物などの原価から現在の価格を割り出していく査定方法です。

    建物の価格を算出するのに用いられる方法です。

    余談ですが、経過年数によって建物の価値が減っていくのは日本の特徴で、欧米では年数が経てばそれだけメンテナンスがされていて価値があると判断されています。

    日本でもそういった文化を取り入れようとする動きがあるのですが、如何せん日本中の不動産業者や金融機関の評価法として原価法が使用されている為、中々根付きません。

    建物については住んだ瞬間から値段は下落していくもの・・・が一般的な考え方です。

    無料査定を上手く利用しよう

    不動産の査定方法と不動産鑑定士の鑑定、不動産屋の査定について書いてきましたが、一般の方の不動産査定のほとんどが、不動産業者の無料査定で事足りることがご理解いただけたと思います。

    そして売却を目的として複数社の査定を依頼する場合は、仲介と買い取りの査定を出してもらう事がユーザーの利益につながる、重要なポイントとなりますので必ずそうしてください。

    そうしなければ複数社に査定を依頼しても、絵に描いた餅ならぬ、机上の高い価格だけが先行し、あなたの欲望に火がついてしまう恐れがあります。

    一括査定を利用する際は
    1. 査定額≠売却額ではない
    2. あなたの立ち位置によって価格が変わる
    3. 仲介と買い取りの2つの査定を依頼する
    この3点は十分に頭に叩き込んでおきましょう。

    不動産の売却は査定から。正しい不動産査定とは?騙されない為の裏技?


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