不動産業界への目に見えるコロナウイルスの影響

コロナウイルスの影響は、大なり小なり色んな業界で起こっています。

特に飲食系の業種の方は気の毒としか言いようがないくらいですね。

医療業界の従事者の方々も自分の感染リスクを抱えながら、身を粉にして奮闘されています。

少しでも早くこの騒動が治まる事を全ての人が望んでいると思いますが、自分ができる感染防止対策への協力は徹底しなければいけないと思います。

さて、この極悪なコロナウイルスは当然ながら不動産業界にも影響を与えています。

不動産業界に対する現在の影響と、未来への影響について考えてみたいと思います。

不動産業界への影響は?

差し当たって私自身にも3月の頭の段階で既に影響がありました。

私の受けた影響実話
県外からこちらへ、4月からの永続的転勤が決まられていた方がおられました。

3月初旬に中古住宅を売買契約を締結し、3月末~で所有権移転を行う予定で2月から準備をしていたのですが・・・。

会社からの在宅ワーク指令が出て、その上転勤の話も保留となりました。

当然ですよね。

結構早い段階での対応だったのですが、その方の勤務されている会社の判断は正しかったのだと思います。

当然、売買契約の話も流れてしまいましたが、売買契約寸前だったので事なきを得ました。

売主様からするとたまったもんではありませんが、買売契約後であれば契約解除に伴うゴタゴタが発生していた可能性を考えると、金銭的損失は発生していませんので影響は最小限で済んだとも言えます。


この様に私の場合は、売主さんが売却を出来なかった事と、仲介手数料が入らなくなった事が、コロナの影響と言えば影響ですが、金銭的実害はありませんでした。

しかし、実際に売買契約をしてしまっている方や、移動や転勤で賃貸契約をしてしまっている方も全国にはたくさんおられます。

こういった事態なので、白紙解約になるケースが多いのではないかと思いますが、違約金や本来得るべき利益の喪失についてのトラブルについて耳にする様になりました。

特に2~3月は賃貸業界はかき入れ時なので、売り上げが減少している不動産業者も多いと思います。

それでも移動によってコロナウイルスが拡散するよりはましだと思いますし、もっと厳しく制限してもいいくらいかもしれませんね。

引越しは不要不急に該当するか?


引越しは不要不急に該当するか?

という判断は個別でするしかないようだ。

「ケースバイケースだが、例えばすでに前の住居引き払ってしまっているとなれば、日程変更は難しい。そういうケースでは(引っ越しを)進めていただくしかない」

「日程を動かしづらいかどうか、という点が1つの判断基準にしてほしい」

というのが東京都の担当者の見解なので、これに右へ習えで基準を持つとイイと思います。

しかし、感染しているかどうかはわかりませんので、

対応した不動産業者の社員が感染してしまっている

⇒ 社内でのクラスター感染 ・・・という事態も発生してくるでしょう。

現在では東京などから地方へ移動する場合は、2週間の待機期間を取って欲しいと言う要請が自治体からされているようなので、モラルのある人であれば待機をしてくれるようになりますが、実際は外出をしている人が多いので、地方の住民は戦々恐々です。

実際に東京から転勤してきた方が、3日後にこちらで陽性反応がでたというニュースが流れた時は、

「どこの不動産屋経由で移動してきたか知らないか?」

という問い合わせが何件かありましたので、世間の人達が人間の移動・・・引っ越しにも敏感になっている事がわかります。

なので、基準はそれでもいいのかもしれませんが、もっと厳しい視点で判断する必要があると言えますね。


いずれにせよ、不動産業界も感染拡大防止の観点から、自粛と不要な移動に対する判断は厳しく考えておかなければいけません。

家賃に対するクレーム

コロナの影響で、家賃の支払いが厳しくなっている人が増加していますね。

それに伴い、支払いの猶予や、中には家賃の減額を求めてくる人も居るようです。

こういう時期なので、支払いの猶予はオーナーさんも相談に乗ってくれる可能性はあると思いますし、何らかの補てん措置が決まるとイイですね。

しかし、減額については少し筋が違うような気がします。

気持ちとしては対応してあげたいですが、先に商品を購入している訳ですから、使った後に値引き交渉するのは違いますよね。

とある不動産業者では、

こんな時期にお前の所は非国民か!

といった訳の分からない感情的なお言葉を頂いておりましたが、元々家賃が高いのであれば交渉してみるのは良いですが、コロナに被せて賃料の交渉はお門違いです。

しかもこの方、給料には全く影響がない職業の方です。

何かにつけてクレームを言うのが生きがいなのでしょう。

減額についての私の意見はNO!ですが、猶予についての話はしてみるべきでしょう。

また、オーナーさんは多くの場合、家賃保証が受けれる保証会社を利用していますので、2か月くらいは損失がでません。

なので猶予の交渉は、保証会社化もしくは管理会社とすべきケースが多いと思うので、そちらと交渉してみましょう。


家賃についてのクレームが発生するのは仕方ないとして、家賃保証の会社がどこまで対応できるのか?

というのも不動産業者としては気になるところです。

恐らく滞納率はグンと上がりますので、下手をすると・・・。

以前起こった、保証会社の倒産の時を思い出して、準備しておく必要があるかもしれませんね。

未来の不動産業界へのコロナの影響

戦後最大の経済危機などと言われていますが、経済が落ちこむと不動産の流通にも大きな影響が出ます。

本当に戦後最大の経済危機であれば、バブル崩壊後の状況よりも悪くなるという事ですから、単純に推測すると危険信号が出まくっていると言えます。

恐らくそうなると考えていた方が正しいと感じるのは私だけでしょうか?

私は債務整理や任意売却に携わっている立場なので、その観点から見ると、まずそうなってくるでしょう。

  • 倒産する会社が増加する

  • 自己破産者が増加する

  • 住宅ローンが払えない人が増加する

  • 家賃が払えない人が増加する

これらの現象が起こりますので、必ず不動産価格は下落します。

これは不良債権が増えるという事なので、バブル崩壊後の不良債権処理を思い出していただけるとわかりやすいと思います。

不良債権の処理の為に、市場価格よりも安い物件が流通してくる訳ですから、自然にそうなるでしょう。

また、民主党政権下で行われたモラトリアム法による緩和措置によって表面化しなくなった不良債権が一気に噴き出してくる可能性もあります。

水面下で増加していた”ほぼ不良債権が”表面化してしまうと、恐ろしい程の影響が想像できます。

この部分から見ると、国の緊急経済対策は、そういった影響を出してしまう所へ厚くする必要性があるので、一律給付なんていう誤魔化しよりもピンポイントで行うのが正しいのです。

その方向性を間違えると、不良債権の嵐がやってきて、一気に日本の経済をなぎ倒していってくれるでしょう。

一律給付の不公平性と間違いである理由についてはまたの機会にするとして、コロナの影響による不良債権の増加には、全力の注意が必要です。

働き方・住み方に対する意識の変化


テレワーク、在宅ワークの普及によって、住まいに対する考え方も変化していきます。

企業もわざわざ家賃の高額な事務所を維持する必要性が減りますし、個人も会社に近い、便利な高額な物件を購入して住居とする必要性が減るからです。

一気に浸透するか?というのはわかりませんが、今回のコロナ騒動で、企業側の一つの指標になるのは間違いありません。

職種によって向き不向きがありますが、企業としては判断しやすくなりますよね。

そもそも政府が「働き方改革」の一環で、テレワークや副業・兼業を推進してきた経緯もあるので、より加速するのは間違いありません。

となると、全体的に都心部の高額物件の需要が減るのは必然的ですね。

それに付随して、個人の住宅の需要も変化しますので、この観点からも不動産価格の下落が見通せます。


コロナの不動産業界への影響まとめ

差し当たって現在はそこまでの影響が無いと思われる不動産業界ですが、色んな事象から、崩壊寸前である事が予測できます。

  • 生活の変化による需要の変化

  • 不良債権の増加による市場の変化

  • 企業の形態の変化による市場の変化

  • 移動の激減による収益の減少

これらの影響は必ずありますので、手遅れになる前に手を打てるようにしておきましょう。

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宅地建物取引士・行政書士です。 農地の売買、農地転用、任意売却、離婚相談、相続相談をメインに実務を毎日こなしています。 困った時はぜひご相談を!