空き家率が増加しているのは誰もが周知の事実です。
相続した空き家を放置しておく事でのリスクを知っていますか?
現在並行して同じような内容の相談が寄せられ、突然の出来事に頭を悩ませている方が急増している現状を改めて感じたので、皆さんに知っておいてもらいたいです。
相続した家を空き家で放置しておくリスク
田舎にある相続した(すべき)家を、そのまま放置しておくケースが増加しています。貸すこともできず、売る事も出来ず・・・。
現在相談を頂いているケースでは、更にその子供・・・つまり孫にあたる方からの相談でした。
市役所などの公共団体からある日突然やってくる、不幸の連絡・・・。
万が一、建物の倒壊により他人に迷惑をかけた場合は、損害賠償の対象に当然なります。
そうなるとお金がいくらかかるかわかりません。
実はこの事が空き家を放置しておく事で発生する最大のリスクなのです。
ではどうすれば・・・?
- そんな家がある事を知らなかった
- 私が壊さなければいけないの?
- 相続放棄したらダメなの?
これらが突然の連絡に対して浮かぶ疑問です。
その答えは、相続人が壊さなければいけません。
もし金銭的な問題やその他の要因で壊さずに放置していた場合、市などの公共団体が解体をし、後日その費用を請求されるパターンになってしまいます。
実はお国の取り立てが一番キツイので、逃げおおせる事は難しいでしょう。
私の相談者の方は、そんな家がある事を知らなかったのですが、他の相続人と同様に不幸の知らせがやってきたのです。
つまり、市が相続人であると結論付けたわけですが、ある日突然お金のかかる事を言われても懐の具合の問題もあります。
場合によっては数百万円単位での費用がかかる訳ですから、無理もない話です。
しかしだからといって放置していて他人に被害を及ぼせば、損害額がいくらになるかわかりません。
考えただけでも恐ろしい話です。
そこで思った疑問が、どうせ知らなかった相続だし、”放棄してしまえばいいのでは?”という疑問です。
実はこれが一番癖が悪いパターンなのです。
私も含め、巷の司法書士や行政書士といった相続の専門家でも誤った解釈をしていて、放棄すれば国庫に帰属するので責任は回避できると考えてしまいがちですが・・・
相続人全員が相続放棄をし、認められたからといって、所有権のない不動産が自動的に国庫へ帰属する訳ではないのです。
実際に国に引き取ってもらう為には費用が掛かります。
相続財産管理人を選任し、一定の手続きを経て初めてクリアできるかも?なのです。
(相続財産管理人の選任には、避けて通れない予納金等のコストの問題(数十万円~100万円程度)が生じます。)
財産の内容にもよりますが、私の相談者の場合は100万円を超える費用を言われたそうです。
つまり、費用倒れになる可能性が高い為に断念する場合がほとんどなのです。
【民法第940条】
相続放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
つまり国や他の相続人に名義が移るまでは、相続放棄したとしても”管理義務”が継続されるのです。
”管理義務”が継続されるという事は、賠償責任も継続するという事になります。
一番怖い、万が一が起こった時には、その賠償責任がついて回るのです。
犯罪にこそならないですが、民事賠償については交通事故の加害者と同じです。
要は相続放棄したからといって、その責任を逃れられるかというと、否!なのです。
相続人が決まっていない場合はその責任についても理解しておく必要があるのです。
お金もないし管理もできない
遠方の家屋を管理することなんてできない
と言いたくなってしまうのも無理ありません。
しかも存在すら知らなかった財産の事を突然言われても困るばかりです。
が、現実的にはそれは通用しないという事になります。
補助金制度を利用しよう
こういった相続財産で困っている人の為?に、自治体によって補助金がでる地域もあります。私の生息する地域では最大80万円ですが、解体工事の費用の補助金が支給される制度があります。
もちろん該当する場合としない場合があるのですが、利用できるものは利用すべきなので、それぞれの公共団体に問い合わせてみるのがいいでしょう。
戸籍を集めたり、実印を集めたり、相続人全員の協力が必要ですが、やってみる価値があると言えるでしょう。
もしどうしても難しいと思えるならば、費用は掛かりますが行政書士等に依頼すると良いかもしれません。
因みに私も最初の一発目は勉強の為、ボランティアでやってあげる事にしました^^
150万の解体費用のうち、80万円が補助されることになったので、大変喜んでいただけました。
残りの70万円を5人で等分する形になり、掛かる費用が半分以下になったのですから、そうですよね?
とにかく自治体に確認です!