不動産の売買契約の中で、面積についての取り決め内容として、公簿売買と実測売買という2つの方法があります。
実測売買については、ほぼトラブルは起こり得ません。
が、公簿売買の場合であれば、トラブルの種が存在してしまうケースが存在します。
ここでは、この2つの種類の売買の意味と公簿売買における、確認すべき3つのポイントを解説しましょう。
公簿売買と実測売買の違いとは?
公簿売買とは
公簿=登記簿という事なので、
公簿面積=登記簿面積という事になります。
よって、登記簿面積によって売買を行うのが「公簿売買」という事なのです。
実測売買とは
逆に文字通り実測取引は、実際に測量を行った後の面積=実測面積という事です。
逆に文字通り実測取引は、実際に測量を行った後の面積=実測面積という事です。
不動産の売買において、なぜ面積の内容について公簿と実測のどちらかの取り決めを定める必要があるのか?
という理由については、
登記簿と実際のの面積に誤差がある可能性のある不動産=公簿面積と
誤差が無い不動産=実測面積が存在するという理由があります。
実測面積は土地家屋調査士という国家資格を持った先生が、周辺の境界を確定させ現況に合わせて土地を測るので、現実の面積との誤差はほぼ生じません。
実測売買時の唯一のリスク隣接者等が境界に同意せず、境界確定が不成立
というケースが稀ながら存在します。
境界が不確定の場合、分筆や地積更生等が行えず、売買が成立しません(それを承知で売買しない限りは)。
売買契約時に停止条件付の白紙解約を付すのが通常なので、そこまでにかかった測量実費の負担のみが売主・買主どちらかに(通常は売主)リスクとして存在します。
というケースが稀ながら存在します。
境界が不確定の場合、分筆や地積更生等が行えず、売買が成立しません(それを承知で売買しない限りは)。
売買契約時に停止条件付の白紙解約を付すのが通常なので、そこまでにかかった測量実費の負担のみが売主・買主どちらかに(通常は売主)リスクとして存在します。
しかし、公簿面積についてはどうしてもズレが存在する可能性があります。
- 昔からあるそもそもの面積(登記簿の面積)が間違っている
- 測量技術の精度の誤差
江戸時代の測量技術と昭和の測量技術には大きな技術差が存在します。
そして、平成18年以降の測量とそれ以前でも技術差が大きく存在します。
昔はヒモで測っていたものが巻き尺になり、巻き尺が機械になり、機械が進化しGPSが利用されるようになった・・・・
この時代の流れが、現実の面積誤差を表面化させるのです。
要は面積の根拠がどこにあるのか?という事が売買契約において重要なのです。
境界の明示については、実測取引でも公簿取引でも必要な行為になりますので、境界の明示と面積の確定方法については、売買契約時に確認が必要といえる要素となります。
昭和の測量図
この様に、昭和の時代は三角測量が主体で、現場で巻き尺などで寸法を出し、出来上がった図面を三角形で求積している図面です。
江戸時代よりは精度が高いですが、それでもかなり怪しいですよね?
平成の測量図(残地処理)
平成になるとさすがにポイントが出され、ほぼ正確な図面が出来上がっています。
しかし、平成17年以前の物は、残地処理という手法が多く用いられており、誤差のしわ寄せを一部に持っていく行為がある為、正確な面積の部分と全く誤差がある部分に図面が別れているケースが多く存在します。
この残地処理は、
仮に登記簿が1,000㎡だったとしましょう。
全体を測量して900㎡しかなかった場合には、正確な面積部分500㎡(Aとする)と不正確な面積部分500㎡(Bとする)に別けて、Bにしわ寄せの100㎡を持っていき、そもそもの1,000㎡の訂正(地積更生)を行っていない、といった手法なのです。
つまりAの部分は登記簿と実測が一致し、Bの部分は不正確で処理するのです。
その為Aについては何ら問題なく、Bについては、分筆などの行為を行えなかったりするので、何かの時には再度測量する必要があるのです。
仮に登記簿が1,000㎡だったとしましょう。
全体を測量して900㎡しかなかった場合には、正確な面積部分500㎡(Aとする)と不正確な面積部分500㎡(Bとする)に別けて、Bにしわ寄せの100㎡を持っていき、そもそもの1,000㎡の訂正(地積更生)を行っていない、といった手法なのです。
つまりAの部分は登記簿と実測が一致し、Bの部分は不正確で処理するのです。
その為Aについては何ら問題なく、Bについては、分筆などの行為を行えなかったりするので、何かの時には再度測量する必要があるのです。
この図面(わかりにくいですが・・・)では結果的に測量をし直す必要が生じ、高額な費用を支払って、現在の測量を行いました。
平成の測量図(残地処理なし)
平成18年以降の測量図が存在する場合には、面積が登記簿と必ず一致します。
前述の残地処理はほぼ認められず、地積更生(正確な面積に訂正する行為)が行われる為、面積が登記簿と必ず一致するのです。
じゃあ、全部の取引を実測売買にすればイイのでは?
確かにその通りなのですが、測量費用の問題と、現実的には公簿売買でも問題が起こらないケースが多いので、公簿売買が存在するのです。
では公簿売買で良いケースとはどんな場合でしょうか?
多くの場合、新しく分譲する場合であったり、これから区画されていくような物件については必ず実測取引が行われます。
そして、中古住宅の取引や、昔からある宅地の取引なんかは公簿取引が多いと言えるでしょう。
それらの公簿売買において押さえておくべきポイントをみてみましょう。
公簿売買で問題ないケースとは?
- 周囲との境界がはっきりしていて、現況の面積と公図とほぼ一致する。
- 国土調査が行われた経緯がある。
- 平成17年より以前の測量図が存在し、現況と一致する。
- 平成18年以降の測量が行われている
このような場合は、問題が起こらないであろうことから、公簿売買が選択されます。
公簿売買で起こりえる問題は、面積の相違によるトラブルですので、売買価格の増減と周囲との境界トラブルのいずれかです。
境界がはっきりしている事と面積がほぼ一致している事、公図と現況がほぼ一致している事がトラブルを回避するための条件
その為面積と境界によるトラブルが起こる要素が少ないので、公簿取引が選択されるのです。
※例外として、現況と異なっていたり、国土調査が古く精度が低い為誤差がはっきりしていたり、国土調査が不調に終わり筆界未特定になっているケースは実測が必要と言えます。
現実的な話をすると、測量されたポイント(ポイントは正しい)に沿って境界壁やブロックを施工していくわけですが、この工事自体の精度でどうしても数ミリ単位の誤差は現場で発生することがあります。
それを咎めたり、矯正する事は不可能に等しい事なので、現実的には実測取引においても工事誤差が生じる事がありえます。
そういった誤差も含めて、公簿取引で問題ない場合は公簿取引で行われるのです。
大切なのは、
公簿取引で重要な3つのポイント
- 境界がはっきりしている事
- 面積がほぼ一致している事
- 公図と現況がほぼ一致している事
この3点になります。
もしあなたが公簿取引について疑問を感じた場合は、この3点について確認しましょう。
- 面積が大きくずれていたり
- 現況と公図が一致していなかった
- 境界が怪しい場合
これらの場合は、実測取引をすることが望ましいので、不動産屋に言いくるめられる前に確認と主張をしましょう。