賃貸借契約の広告宣伝費。不動産業界の闇を暴露!法律の真実とは?

実は違法であるが堂々とお金を支払わせる、当たり前になりすぎて慣例化してしまっている・・・

金融業界のグレーゾーン金利と同様に、不動産業界にも無理矢理クロシロにしてしまっているグレーな慣行が多く存在します。

あまりにも自浄作用が無い業界だけに、この事を社会に投げかけたとしても響かないかもしれませんが、皆さんには知っておいて欲しい、不動産業界の闇の部分、トラブルの内容についての法律の真実をご紹介してみます。

不動産屋
物件の入居が決まったら、広告料として〇か月分頂きます。

大家さん
広告料って・・・

宣伝して入居を斡旋するのが不動産屋の仕事では?・・・

Contents

賃貸借契約において媒介報酬とは別に広告宣伝費を受領は合法?

賃貸借契約において媒介報酬とは別に広告宣伝費を受領する行為は慣例化しています。

当たり前に請求し、当たり前に支払わされているのが現実です。

この広告宣伝費=ADと呼ばれる費用の請求と受領は、合法な行為なのか?

全うな請求なのか?

応えはNO!です。

実際に行政処分された例もありますし、裁判所での判例も存在します。

リンク先
https://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/100-128.pdf
RETIO. 2016. 1 NO.100 参照
RETIO. 2016. 1 NO.100 続き

広告宣伝費のトラブル

トラブルの内容
  1. 媒介業者Bは、貸主Cからその所有する建物の賃貸の媒介を依頼され、借主Aとの間で賃貸借契約を締結した。

  2. Bは、その際Aから預かった契約金の中から、Cが特に依頼をしていなかったにもかかわらず、媒介報酬とは別に広告宣伝費と称して賃料1ヵ月分相当額を取得した。

  3. Cは、事前にBからこの広告宣伝費と称する金額を支払うことの説明を受けていなかったので、Bに対して広告宣伝費を支払うことに不審を抱き、行政庁に苦情の相談をした。

広告宣伝費のトラブル事例の結末

Cから相談を受けた行政庁は、Bから事情聴取をした結果、Bの行為は、正規の媒介報酬以外にCからの特別依頼事項でないにもかかわらず広告宣伝費と称して賃料の1ヵ月分相当額を取得しており、業法第46条第2項(超過報酬の受領の制限)に違反する行為であるとして、賃料の1ヵ月分相当額の返還を命じた。

なお、Bは、本賃貸借契約の媒介に際し、重要事項説明書において登記記録に関する事項や契約解除に関する事項について記載せず、かつ説明もしていない等、他にも多数の違反を行っていた。

行政庁は、Bが過去同様な業法違反を繰り返していること、既に行政庁から業務停止4ヵ月の処分も受けていたこと等を勘案し、Bの行為は非常に悪質であるとして、免許取消処分とした。

宅建業法における媒介報酬の制限(第46条)を潜脱する目的で、宅建業者が正規の媒介報酬とは別に広告宣伝費という名目で報酬を受領することは、通常の方法等による広告実施以外に当該広告が媒介の依頼者から特別に依頼された広告宣伝であることを証明できない限り、また、実際にその広告宣伝が実施されない限り、受領はもとより請求しても業法上違反になるということだ。

情けないかな、広告宣伝費以外の部分の違反についても、当たり前に見かける光景です・・・

業者が宅地又は建物の売買等に関して受け取ることができる報酬の額は?

賃貸の斡旋で得られる報酬の上限は 依頼者双方から受領できる報酬合計は借賃の1ヶ月まで と規定されています。

以下は禁止されている行為です。

告示第七
(告示第二から第六までの規定によらない報酬の受領の禁止)
  • 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関し、第二から第六までの規定によるほか、報酬を受けることはできない

    ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない。

  • この”ただし・・・”の部分を当たり前に悪用しているのが不動産業界。

    宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
    (告示第七(告示第二から第六までの規定によらない報酬の受領の禁止))関係

  • 宅地建物取引業者は、告示第二から第六までの規定によるほかは依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額を除き報酬を受けることはできない。
    したがって、告示第二から第六までの規定による報酬及び依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額以外にいわゆる案内料、申込料や依頼者の依頼によらずに行う広告の料金に相当する額の報酬を受領することはできない。


  • この規定には、宅地建物取引業者が依頼者の特別の依頼により行う遠隔地における現地調査等に要する費用に相当する額の金銭を依頼者から提供された場合にこれを受領すること等、依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金銭で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものを別途受領することまでも禁止する趣旨は含まれていない。

  • 事前に・・・を逆手にとって書類に押印させればいいと思っているのが不動産業界。

    広告宣伝費をもらうのは違法行為だが・・・

    以上の事から、広告宣伝費をもらう、請求する行為は宅建業法に触れる事は理解できたと思います。

    しかし、相手がどうしても貰って欲しいケースや特別な依頼がある場合はこの限りではない・・・という例外を逆手にとって、「広告料を支払います」という書類に押印させているのが実情です。

    判例があるくらいですから、不動産業者も当然承知しています。

    知っている上で、自分たちの食い扶持を確保するために当たり前に行っている、ダークをシロに見せかけている手法なのです。


    不動産屋
    別に払ってくれなくてもいいんですよ?

    他の物件を一生懸命斡旋するだけですから。

    あなたの物件は当然後回しになりますけど。

    大家さん
    借り手がいなければ支払いが・・・・

    競争も激しい事だし、仕方ないかあ…。

    広告料払ってでも入居してもらった方がいいし・・・。

    競争が激しい為に、仲介手数料無料や家賃〇か月分無料、引っ越し0円・・・等のキャンペーンが見かけられますが、これらは不動産屋が腹を痛めるのではなく、全て大家さんにしわ寄せを持っていくのが実情です。

    仲介手数料無料であればその分大家さんが負担しているんですね・・・。

    もちろん競争社会なのでそういった事も有りですし、借り手さんが安く借りれるに越したことはありません。

    しかし、結局利益を得ているのは不動産屋なのですから、何らかの形で不動産屋もキツイ思いをするべきであり、法律を曲げて利益を上げている姿勢大嫌いです。

    また、ほぼ無差別的な計画によってアパートなんかが周辺に乱立し、競争が激しくなっている賃貸の世界においてはある程度仕方が無い事だという、「仕方なく広告料を払ってでも・・・」という洗脳されてしまったオーナーさんがほとんどです。

    確かに目先の入居は大切な事ですが、あまりにも不動産屋に踊らされてはいませんか?

    不動産業者はある程度、自分たちで需給バランスを崩しているんだから、そのしわ寄せをオーナーに持っていくのは・・・・。

    近い将来、広告料を払おうが払うまいが、そもそも空室だらけになるのは統計上出ているのだから、違う方向性を考えるのが正しいと考えます。

    田舎の場合は特に、売るなり、付加価値を創造するなり、手を打てる間に打っておくべきでしょう。


    くれぐれも報酬の限度を理解した上で、相手の請求をどうするのかは判断してください。

    払うも払わないも、あなた次第です。

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