再建築不可の物件って安いよね。でも買うのはタダの馬鹿です。

再建築不可の不動産についての査定依頼を頂くことがあります。

実は、この再建築不可の物件の査定が一番厄介かもしれません。

特殊な場合を除き、隣接者や借家で貸すことを目的としたユーザーにしか売却が難しいからです。

田舎の事なので、基本的には査定不能で処理することが多いのが実情です。

なぜ査定不能なのか?について購入する側からの目線で見ていきたいと思います。

再建築不可の不動産は購入してはいけない

再建築不可の不動産は購入してはいけないというのが私の考えです。

その理由には
再建築不可物件のデメリット
  1. 金融機関の担保価値が無い
  2. 隣接者以外の購入者が見込めない
  3. 出口戦略が無い
  4. そもそも合法的に建てられていない
  5. 古い建物の場合が多い為コスト倒れになる
  6. 固定資産税は変わらない

といった理由があります。

それぞれの理由について見ていきます。

再建築不可は致命的負債


  • ①~③

  • 再建築不可の場合は、金融機関の担保評価が出ない為、現金購入が基本となります。

    金融機関が評価しないものを、わざわざ現金を出して購入する意味があれば良いですが、隣接者以外でその理由が生じることはほぼ0でしょう。

    隣接者であれば、駐車場や進入路、宅地拡張といった利用ができる可能性がありますが、それ以外では利用価値が見込めません。

    その為、いざという時の売却先が無く、出口が無い負債になる可能性が高いのです。

    ハイリスクハイリターンなんて言いますが、ハイリスクローリターンなのが再建築不可の不動産なのです。

    私は”タダであげる”と言われても要りません。

    だって負債になるのが目に見えていますから。

  • ④~⑥

  • 中にはリフォームをして賃貸して利益を得ている、得ようとしている人がいますが、将来の子供や孫に対する嫌がらせである事を理解したうえで行っている人を見たことがありません。

    というのも、そもそも違法建築物なので、耐震についても怪しいですし、大規模修繕が合法的には出来ません

    大規模修繕には建築確認が必要なのですが、その建築確認の許可が下りないのです。

    クロスを変えたり、設備を新しくしたりという、部品の交換的なリフォームは可能ですが、根本的な構造の部分や大きな過半を超えるような工事についてはNOである為、いずれどこかで限界がやってきます。

    都会では事情が違うかもしれませんが、田舎でそれを無理やりやってしまうと、すぐにお役所から指導がやってきます。

    限界がやってくると、賃貸することは不可能ですし、解体の指導が来る可能性もあります。

    そうなると、固定資産税や都市計画税、草抜きなどの維持管理費だけがかかり、完全な負債となります。

    ※再建築不可だからと言っても面積で評価されるので、固定資産税が安くなることはありません。

    また、下手すると地震などで借家人に取り返しのつかない事故が起こる事すらあり得るので、危険負担のリスクも考えなければいけません。

    今現在は資力がある本人がやっている事なので問題ないかもしれませんが、相続人である子供や孫が同じように資力があるかどうかは疑問です。

    普通のサラリーマンであれば、毎年10万円以上のコストを払わされる事は苦痛でしか無いでしょう。

    結果的には負債になってしまう可能性が高いのです。

    土地余り時代に再建築不可物件をわざわざ買う必要性

    土地余り時代に再建築不可物件をわざわざ買う必要性は、全くありません。

    至る所に土地が余っていて、地価が下がっている為、それなりの価格で普通のまともな物件を購入することが可能なのですから、再建築不可物件を購入する理由が見つかりません。

    仮にタダでもらって、月5万円で10年間貸せたとしましょう。

    10年間で600万円の利益から税金を引いた金額が利益となるので、恐らく約500万円が10年間で生み出されたお金になります。

    しかし、その後解体費用(再建築不可の場所は道が無かったり狭い為、割高になるケースが多い)や固定資産税は未来永劫掛かり続けます。

    ※相続放棄したとしても、国庫に帰属しない限り固定資産税は相続人に請求され続けます。

    仮に解体費用が100万円、固定資産税が10万円、管理費が年間10万円としましょう。

    20年で500万円は消えてしまいます。

    さて、あなたは子供や孫に目に見えたリスクを負わせたいですか?

    建築基準法が改正され、基準が緩和されない限り、そのリスクは常に存在します。

    マンションの耐震偽装や手抜き工事の事件、ビル火災等の影響で、どちらかと言えば規制がキツクなっているのが建築基準法です。

    土地が余って、まともな土地も値段が安くなっていく時代です。

    再建築不可物件を購入するなんて、タダの馬鹿でしか無い事を理解できたと思います。

    再建築不可の不動産を購入しても良い例外

    再建築不可の不動産を購入しても良い例外もあります。

    購入しても良い=売却の可能性もある という訳ですが…。

    それは出口・・・つまり利用法が見えているケースです。

    再建築不可の不動産の利用法とは
    1. 隣接者が購入する
    2. 駐車場やレンタル倉庫として貸せる
    3. 建築基準法43条の但し書き許可が受けられる

    この3つの中の1つでも、実現性が確実な場合は購入しても良い例外と言えます。

    隣接者が購入してくれる場合は(購入して)売ってしまいましょう。

    駐車場やレンタル倉庫として貸せるという、周辺需要があれば利益を産み続ける可能性がある為、検討の余地ありです。

    建築基準法43条の但し書き許可が受けられる場合は、再建築可能になるので、その条件がクリアできるかどうかの確認は必要です(行政庁に確認)。

    これらの状況に合致するケースは少ないですが、もし可能性があるのであれば検討の余地があるのも事実です。

    その道に長けたプロに相談したりしましょう。

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    宅地建物取引士・行政書士です。 農地の売買、農地転用、任意売却、離婚相談、相続相談をメインに実務を毎日こなしています。 困った時はぜひご相談を!