仕事柄、不動産の一括査定サイトへの誘導サイトが目につきます。
100の内、1つの事例を紹介して凄い!なんて物もあれば、明らかな嘘や間違いも多く見て取れます。
残念ながら、検索順位が高いサイトでも多く見て取れます。
本職の人間からすると、腹立たしい部分でもあります。
という事で、現場のプロの目から見た、嘘や間違いを指摘しておきます。
目次
不動産査定サイトへの誘導サイトの嘘・間違い
- いま家の価値を調べる人が続出!
試しに簡単45秒の不動産無料査定ツールで調べたら驚きの価格に! - 自宅がこんなに高く売れるとは…
- ある方法で家の査定をしたら、築35年の家に買い手がつきました
- 農地をそのまま売っても価格は付きにくい!一括査定サイトを使うのがおすすめ
- 農地を転用すれば農家以外にも売却できる
- 複数業者に査定依頼しよう
- 公示されている土地相場は非常に信頼性が高い
- 不動産を高額売却したいなら一括査定サイトを使おう
- 農地を転用して売却する
- 〇〇市で売却額が増えた!
- 査定価格に幅がある表記は×
ほんの一部ですが、これらは本当の様に見せかけた嘘や間違いです。
見かけらたその都度追記していきたいと思います。
自宅がこんなに高く売れるとは…
この表現が一番誇大表現ですね・・・。100の内の1つの事例を大きくクローズアップしている、ヒドイおとり表現です。
都心部ではそれもあり得ますが、地方では(人口減少地域や地下下落地域)ほとんどあり得ない現象です。
もちろん査定価格の価格はいくらでもいいので、高い査定価格が出てくるかもしれません。
提示された適当な高い価格を真に受ける人が多いのが現実ですし、人間はそうなってしまい、一度刷り込まれた価格は中々取り除くことができません。
結果的に、売却がなかなかできずに、一番安い査定価格よりも低い価格での売却を数年後にしなければいけなくなる可能性が凄く高い事を十分認識して欲しいですね・・・。
「高く売る方法」、「高く売るコツ」という言葉が載っているページでは決して本当の意味での高く売る方法を書いてはいません。
TIME IS MONEY!
この言葉は本当、重たい言葉ですね^^
いま家の価値を調べる人が続出!試しに簡単45秒の不動産無料査定ツールで調べたら驚きの価格に!
確かに驚きの価格かもしれませんが、使用される画像には高額な数字が使用されているため、高い価格が出てくると錯覚する効果を狙っているのがミエミエですね。家の価格や土地の価格を調べる人が増加しているだろうことは、相続が発生する件数がこの数年でピークを迎えると言われているので、当然増加します。
気を付けて欲しいのは、「不動産無料査定ツールで調べたら」の部分ですが、査定をするのは広告媒体に加盟をしている不動産業者です。
そして、査定価格は売却価格とは違いますので、価格については一番安い価格を元に考える事が成功への秘訣です。
(大した根拠のない)高い価格提示 = 太鼓持ち営業の結果
なので、利用には十分注意しましょう。
ある方法で家の査定をしたら、築35年の家に買い手がつきました
といって、一括査定サイトへ誘導するのですが、結果は不動産業者が査定し、不動産業者の斡旋で売却するので、「一括査定サイトを利用したから買い手がついた」と言うのは間違いです。要は、売却の方法やエンドユーザーを顧客に抱えている事や、タイミングが重要であって、決して一括査定サイトを利用したからと言って、HAPPYでは無いという事を理解しておきましょう。
農地をそのまま売っても価格は付きにくい!一括査定サイトを使うのがおすすめ
これも似た感じですね。決して一括査定サイトを利用したからHAPPYでは無いという事です。
そもそも農地を売却した時の手元に残る価格は、そのまま売っても宅地等にして売っても同じです。
査定価格はあくまで「宅地に仕上げたらいくら」を基準に考えますから、「価格は付きにくい!」という表現は間違いです。
素人丸出しの表現ですね。
参考にして下さい。
農地を転用すれば農家以外にも売却できる・農地を転用して売却する
この表現は合っているようでもあるし、間違ってもいます。
市街化区域の農地であればほぼ正しいですし、それ以外であれば間違っています。
そもそも農地の転用は目的に対して行う物です。
5条申請の場合、譲渡人(売主)と譲受人(買主)が双方共同で農地転用の許可申請を行う必要があり、目的通りに(申請の内容通りに)実行する必要があります。
つまり家を建てる申請であれば建築が行われる事、資材置き場であれば実際に資材が置かれる事、といった実際の実行性も求められます。
その通りに行われていなれば、違反転用と言う形となり、罰則や指導の対象となります。
4条申請の場合であれば、所有者が所有者の目的で許可申請しますので、先ほどと同じように、家を建てる申請であれば建築が行われる事、資材置き場であれば実際に資材が置かれる事、といった実際の実行性が求められ、一定期間実際にその使用用途に利用されている事が必要となります。
また、分家住宅や農家住宅等を建築している場合、確かに農家以外の人がその家を購入する事は可能ですが、再建築は不可ですので、まず購入者がいない為に、先に転用行為を行う事はクレイジーな行為となります。
「農地を転用すれば農家以外にも売却できる」という表現は、全体には当てはまらない、部分的にスポットライトを当てた表現なのです。
自分で転用して売却する事は、期間を置かなければ実際にはできないので要注意です。
4条申請にしても5条申請にしても、面積制限や事業計画が必要であったりします。
※売主・買主の目的に合った申請がなされ、色々な制限をクリアした状況でなければ、売買は成立しない・・・それなりに難しいという事を理解しておきましょう。
複数業者に査定依頼しよう
「複数業者に査定依頼しなければ損をする」といった表現が多く見られますが、複数業者に依頼する事のデメリットは書かれません。
2~3社であればまだましかもしれませんが、数が多くなればなるほど査定価格だけが高くなりがちで、実際の売却価格とかけ離れていく傾向があります。
競争原理が働くのですが、間違った方向に働くのです。
複数社へ依頼するときに気を付けて欲しいのは、数字の刷り込みと、意見が交差しすぎる為に判断が出来なくなることです。
1つの物件に色んな不動産業者の看板がかかっていて、長い事売れていない物件を見たことがありませんか?(賃貸物件ではなく売買物件です)
あれってほとんどの場合がそういった負のスパイラルに陥っているんです。
張り切って、「複数業者に査定依頼しなければ損をする」というのはお話にならない結果を生む可能性を秘めた表現ですね。
公示されている土地相場は非常に信頼性が高い
公示されている土地相場は非常に信頼性が高い
全てが間違いではありませんが、信頼性の時間軸の問題です。
公示価格や基準地価と言うのは、確かに実際にあった売買事例を国土交通省や都道府県が調査した数字なので、アンケートに嘘を書いていなければ、ある程度正しい数字です。
しかし、アンケートが送られてくるのは購入後半年以上経過してからで、それを元に国土交通省や都道府県が不動産鑑定士によって価格を算出してきます。
なので、実際に公示価格や基準地価として表に出てくるのは1年以上経過してからになります。
調査の基準日が表示され、平成31年1月と記載されたりしていますが、これって平成25年より以前から補正がなされ利用されている物が多いです。
公示価格については、選定された標準地について鑑定されます。(5年以上同じ地点なのは理解できますが)
平成29年度からは、不動産鑑定士の鑑定評価書が付されています。
5年以上前の物をそのまま持ってきて、(ちゃんと評価をして)平成31年に書き換えている・・・。
ん?んん?
なぜだか価格は上がっている・・・。
ん、じゃあ私の家も価格が上がっているという事か?(数件の近所なので)
そんな訳はありません!^^明らかに値下がりしてますので・・・(>_<)
不思議な感覚だったので、他の評価書も見てみましたが、素晴らしくほぼ私の相場観と同じく、下落された評価がなされています。
最近たまにあるのですが、競売での評価が、我々の実勢価格よりも高く評価される現象が起こります。それと同じことが起きているのではないかと思います。
重要なのは、古い時間の経過したDATAなので、それなりに補正をする必要がある(特に基準地価)という事です。
さらに、不動産鑑定士が補正してからも、発表されるまでの期間の下落率や上昇率を考慮する必要があるのです。(決して平成31年1月と書いてあるからといって、1月の売買ではない事を考慮しましょう^^)
と言う事で、実勢価格とはズレるケースも存在するのです。
なので、信頼性は高いですが、絶対では無いですし、実勢価格に合わせた補正が必要であるという事は認識しておきましょう。
不動産を高額売却したいなら一括査定サイトを使おう
高額を押したい気持ちもわかりますが、売却額が実際に高額になると錯覚を覚えさせる表現ですね・・・。はっきり言って現場に対しては迷惑です。
少しでも高く売りたいという心理を利用した、ある意味悪質な表現です。
価格は所有者が決めるものですから、査定価格が高ければたいていの場合、その価格での販売活動となります。
不動産業者は査定価格が実勢価格よりも高い価格で、実際の売却価格がもっと下になるであろうことは理解しています。
後から来て高い査定価格を提示する不動産業者で、なぜその価格なのか?というはっきりした根拠を示している業者を見たことがありません。
まあ、これは結果が全てなので、悲しい思いをすればいいだけなのですが、本当の所をズバッと指摘してくれる業者と、太鼓持ちのいい加減な言葉との正確さの区別の判断は時間が経たなければ理解しにくい部分でもあります。
査定価格に幅がある表記は×
不動産会社の中には○○万円~△△万円と表記したり、”約”□□万円と表記したりするところがありますが、こうした表記の仕方は顧客思いではありません。
前述の算出方法を使えば値がピッタリ出るので、このように概算値で算出するのは、わざと相手に含みを持たせている可能性が高いです。
といった感じで査定書の記載方法について説明されているのを見かけますが、不動産の価格は毎日の様に流動性がある物です。
たしかにその時点での評価はピッタリと計算できますが、そこから経過する時間軸の問題(下落・上昇)、地域性の問題(人気・不人気)など、3か月くらいのスパンで見直しが必要な物があります。
流通性比率等で調整する部分については、幅があって当たり前でしょうし需要と供給のバランスは常に変わるので、幅があって当たり前です。
また特殊事情によってその価格が相場より高く売れたりする事もあります。
なので、理由の説明や記載が必要ではありますが、査定価格に幅が出ないのは逆に不親切な形である事とも言えるのです。