普通に所得もあるのになぜだか住宅ローンの審査が通らない・・・
こんな経験をされた方は大勢おられるでしょう。
私の経験では一部上場企業、勤続10年、年収1,000万円の人でも、車の他にローンが無いのにも関わらず住宅ローンの審査がダメだった方もおられます。
理由を金融機関に聞いても「総合的な判断で」との理由で前に進みません。
なぜだか分かりますか?
恐らく本人の心の中にはそれらしい心当たりがあるはずなのです。
その心当たりについて確認してみる事で、内容によっては住宅ローンを組めるようになる事もありますので、参考にしてみて下さい。
総合的な判断の中身個人の信用情報の内容
金融機関独自の個人情報
勤務状況などの金融機関の基準
クレジットカードなどの持ちすぎ
その他
住宅ローンの審査に落ちる理由の中身が概ねこれらの内容に該当します。
※ここでいう住宅ローンの審査落ちは、0回答・・・つまり全く借りれないケースに該当します。
減額などの審査結果は、返済比率や担保評価、勤務状況によりますので、別記事を参考にして下さい。
減額などの審査結果は、返済比率や担保評価、勤務状況によりますので、別記事を参考にして下さい。
目次
個人の信用情報の内容で審査落ち
前述の様な方の場合の住宅ローンの審査が通らない理由の99%はこの個人の信用情報に問題があるということです。いわゆるブラック、グレーと呼ばれる扱いに知らないうちになっているのです。
世に言う”ブラックリスト”に乗っちゃっている状況なのです。
え、借金なんて他に無いよ?
と言われるかもしれませんが・・・よくよく考えてみて下さい。
過去の出来事を振り返ってみて下さい。・・・ほら、それらしいのがありますよね?
個人の信用情報が悪くなる7つの原因
- 過払い請求
- 債務整理
- 過去にローンの延滞
- 自己破産や民事再生
- 過去に事件や事故
- 親族の誰かがローンを踏み倒した
- ○暴関係者
これらが総合的判断で断られる要因になっているのです。
TVCMでおなじみの過払い請求には落とし穴がある
ここ数年のものは大丈夫なようですが、過払い請求が流行りだした約10年くらい前に過払い請求をされた経緯がある場合は、信用情報がブラックになっていると思われます。”当事はグレーゾーンの金利内での支払いをしないほうが悪い”
と考える金融屋が多かったため、過払い請求を不良情報として登録していたのです。
これについては法律の運用の改正等でその情報をクリアにすることができる場合もありますので、個別にご相談ください。
ネットでおなじみの債務整理にも落とし穴がある
借金の圧縮、債務整理などを謳い、借金解決診断シュミレーターなる便利なものが流行っているようです。確かに借金で悩んでいる人には効果的ですが、デメリットの説明がされていないのが気になります。
当然この場合も不良情報は登録されます。つまりサラ金系は5年間、銀行系(自己破産の場合)は10年はローンが組めないのです。
過払い請求もそうですが、信用情報についてのデメリットは十分考えて利用しましょう。
奥さんに内緒で過払い請求をしていて、”いざ家を買う時にバレた”という方を何人も見てきています。
そりゃそうですよね。
借金を減らしたり、チャラにしたりするわけですから、そこまでメリットだけというわけにはいかないですよね。
過去にローンの返済が遅れがちだったことがある
返済の遅れがあるということも金融機関の判断基準の大きな要素です。何かしらのローンを、金額が低いからと言って遅れがちになっていると、その記録は登録されます。
また借り癖のひどいケースでもダメだという判断がされる事もあるようです。
この場合は借財が完済されてから5年の期間は何もしない事です。
時間が唯一の解決策と言えますね。
過去に自己破産や民事再生の免責を受けている
自己破産や民事再生の免責を受けてから、5年~10年間でこの記録は抹消されますが、その期間に遅延があったり他の要素があるとさらに記録は残っています。この場合も何もしない事という、時間が唯一の解決策です。
ブラックリスト登録期間
信用情報に記録が残される期間については以下の通りです。各団体のHPを参照しています。
ブラックリスト掲載条件 |
CIC |
JICC |
KSC(銀行系) |
---|---|---|---|
61日以上延滞 |
5年 |
1年 |
5年 |
3か月以上連続延滞 |
5年 |
5年 |
5年 |
強制解約 |
記載なし |
5年 |
5年 |
債務整理(任意整理・特定調停・個人再生) |
5年 |
5年 |
5年 |
自己破産 |
7年 |
5年 |
10年 |
代位弁済 |
記載なし |
5年 |
5年 |
金融機関独自の個人情報による審査落ち
金融機関は前述の信用情報機関の情報とは別に、独自で個人の情報を蓄積しています。事件や事故など新聞に名前が載る様な事柄や、10年以上前の踏み倒しなどの情報について情報を収集し、保管しているのです。
この保管期間は各金融機関によって違いますが、10年以上経過していてもダメなケースもあり、半永久的な場合も有ります。
過去に事件や事故に関わった
レアなケースですが、何かの事件に巻き込まれて新聞に名前が載るようなことがあれば、通帳すら作れない体になってしまう事があります。私の知人で住宅ローンも真面目に返済しているし、仕事も真面目にしている人がいますが、ある時名前を貸しただけで(使われた)新聞様に名前が載り、通帳が作れなかった方が実際におられます。
つまり現在の住宅ローンは仕方ないが、新しい借り入れや取引は一切しない・・・ということです。
こういった場合は当然住宅ローンは借りれませんので、その情報を消せるかどうかによるのですが、私の知人の場合は不起訴になった(名前を無断で使われただけであった為)にも関わらず、未だに口座が作れませんので、余程の事が無い限り消せないのでしょう。
親族の誰かがローンを踏み倒した
これもレアなケースですが、自身の親が借金を踏み倒していたり、金融機関に迷惑をかける行為をしていた場合に、同一とみなされるケースです。滅多にないですが、この場合は事情や状況を説明することで何とかなる場合もあります。
私が経験したケースでは、珍しい苗字の方だった為、指摘がありました。
「〇〇△△さん(お父さん)と〇〇□□さん(お兄さん)との関係はありますか?」
と引っかかっている事についての質問があり、素直に身内であると答えてもらいました。
実際にはお父さんとお兄さんが経営していた会社が倒産していて、個人的にも破産していた為、同一家族ではないか?
という判断をされていたのです。
結婚されてから15年近く生計は全く別で、15年以上一般のそれなりの企業に勤めていた事から、倒産や破産には全く関係が無かったと判断できる書類を提出し、その方は無事融資を受けれるようになりました。
このケースでは、担当者がなんとかしようという意志があった為に深く掘り下げる事が出来ましたが、通常は「総合的判断で・・・」という壁で終わってしまいます。
もし心当たりがあるのであれば、担当者と事前に打ち合わせしておくのも方法ですね。
○暴関係者
暴力団の人は当然ダメですが、それに関わった人もダメであるというケースです。これは警察や金融機関が独自に関係者であると定めて、取引を一切行わないケースです。
暴力団に対する利益供与やマネーロンダリングを防ぐ意味合いです。
年々この関連については厳しく判断されていますし、一度関係者と判断されると、巻き返すのはほぼ不可能では無いでしょうか。
相当レアなケース
私が関わった案件の中でも相当レアなケースをご紹介します。本来であれば表に出てくる内容ではないのですが、何をどのように調べたらそれが発覚するのかもわかりませんし、時間が経過した過去の事例なので、参考までに。
その方は
きれいな体であるという事でしたので、問題ないと思っていたのですが…。
ある金融機関では問題なく事前審査がO.Kだったのですが、一方の金融機関ではOUTの判定=0回答がなされました。
一方が大丈夫であるという事は、同じ信用機関を使っているので信用情報は問題ないという事です。
しかし減額ではなく0回答をした金融機関には、何かしらの不良情報があるという事になります。
その内容というのが、その人の名前で〇〇〇〇の契約が10件以上あるという物でした。
え、そんな事をどうやって調べるんですか?
独自の調査です
〇〇〇〇の契約が10件以上あるという事は普通では考えられない為、何らかの犯罪行為に加担している可能性があるという判断をしたと思われます。
確かに、〇〇〇〇の契約が10件以上あるというのは考えにくく、恐らく悪い事に利用されているという判断ができますが・・・
流石にこの時は私も、金融機関の調査能力に相当ビックリしました。
今でもその調査をしているのかどうかはわかりませんが、彼らの情報収集能力を侮ってはいけませんね。
2種類の性質のものがある”ブラックリスト”
上記で述べたようにブラックリスト・・・信用情報がブラックになるには理由があるわけですが、その性質は2種類に分けられます。
信用情報機関に登録されている物と、金融機関が独自で収集している物です。
情報機関が集めている不良情報
個人の信用情報調査を専門機関に依頼して調査をし、その専門機関にブラックである情報が載せられている場合です。ここには当然過去5年間の遅延や債務整理、自己破産などの記録がされていますので、信用情報機関でブラックだと、金融機関は決してお金を貸してくれません。
気になる期間についてですが、いつまで借りれないのか?
銀行系の情報機関が10年間(自己破産については)その記録を保持していますので、住宅ローンは最低10年は無理だということです。
消費者金融系の情報機関では5年がその記録保持期間ですが、昨今は横の情報のやり取りがなされるようになっており、10年と考えておいた方がよいでしょう。
金融機関が独自で集めている不良情報
情報機関の中の情報は基本的に5年、銀行系は10年(自己破産については)で抹消されますが、この金融機関が独自で集めている情報は基本的に永続的に扱われます。(金融機関はそれを認めませんが・・・)ただ、これはその金融機関独自の物なので”A銀行がダメでもB銀行なら大丈夫”ということもあります。
なぜかと言いますと、10年前に自己破産をしたとしましょう。
その時にローンを組んでいたのがA銀行だとします。
基本的に10年間は完全なブラック状態なのでどこでどうしようが、合法的にはお金は借りれません。
ただ10年経過すれば信用情報がきれいなものになるので、B銀行ではお金が借りれるのです。
しかし踏み倒した相手をA銀行は当然覚えています。
その相手に10年経ったからと言って素直にお金を貸していたらおかしいですよね?
なので住宅ローンの審査がダメであった時に過去の経緯が詳しく分かれば、ひょっとすると他の銀行で借りれる可能性があるのです。
ただ私はそれについてはお勧めはしていません。またダメになった時に自己破産を繰り返す可能性があるからです。
わざわざ2回も人生をリセットする必要性が感じられませんから。
ブラックリストにも2種類あるのが分かって頂けたと思いますが、どちらにせよブラックの場合の解決策は基本的に時間の経過しかありません。
それでも何とかしたい、トライしてみたい、と言う事であれば知恵はお貸し致しますので個別にご相談ください。
また事件などで新聞に名前が載ったりすると同じように永続的に、信用情報がきれいでも、ローンが組めなくなります。
事件で新聞に名前が載ると不起訴処分であっても、通帳を新規で作る事も出来ない状況があったりしますので、要注意です。
事件で新聞に名前が載ると不起訴処分であっても、通帳を新規で作る事も出来ない状況があったりしますので、要注意です。
住宅ローン審査に落ちる理由の一つ
信用情報の内容に少し偏っていて、基本的な事な上に重要な事を書き忘れていました。前述のような事に心当たりが全くない方も居られると思います。
その場合まず疑うべきはクレジットカードです。
楽天カードやイオンカード等、コンビニや普段の買い物でもポイントが貯めれるお得感たっぷりのクレジットカード。
お得感と利用の容易さのメリットに惹かれて、ついつい作成してしまうクレジットカード。
こいが曲者です。というか、住宅ローンに限って言うと悪魔のような存在です。
現在何枚持っているか把握されていますか?
まずはその正確な枚数を把握してください。
そしてその全てのカードにキャッシング機能があるかどうかを確認してください。
大抵の場合、30万円や50万円のキャッシングの枠が付いています。
これが犯人の可能性があります。
え、お金なんか借りたことないけど?
買い物も一括でしているけど?
という声が聞こえてきますが、実はこの枠はお金を借りていなくても借りているとみなされる場合があるのです。
なぜかと言いますと、住宅ローンを実行した後でもカードの枠は有効です。
”10枚のカードがあれば無審査で300万は借りれる”という事実が出来上がってしまう為、金融機関はそれを差し引いた審査をするのです。
いわゆる”返済比率”の中に見られてしまうんですね。
キャッシングの返済年数は通常5年とかなので、100万円借りても30万円位は返済にかかりますので、返済比率への負担が非常に高い代物なのです。
ではどうすればいいのか?
答えは簡単です。
不要なカードは解約しましょう。そしてそれ以上カードを作らない事です。
多くても2枚くらいにして、生活上・仕事上仕方ないものと、普段の買い物程度で納めておきましょう。
金融機関は説明がつかないものや、イレギュラーなことを嫌いますので、マイナスに働く要素は少しでも無くしておくことが重要です。
クレジットカードは普段の何気ない生活の中に溶け込んでいる存在ですので見落としがちですが、この事は将来の住宅ローンを考えるならば、覚えておかなければいけない落とし穴の一つです。
住宅ローン審査で落ちた理由を知るには
これまでの内容で、何となく心当たりがあると思います。正確にその内容を把握するには、信用情報の開示請求を行いましょう。
住宅ローンの審査には上記の3件の情報機関からの信用情報が利用されていますので、3件とも本人の情報開示請求を行ってください。
JICCは無料
CIC,KSCは1,000円ずつの手数料が必要です。
およそ2週間程度で登録されている信用情報について郵送され、確認が出来ます。
書類の中身を確認し、身に覚えの無い情報が登録されていたり、既に保管期限を超えている様な情報が存在する場合は、完済した証明ができる書類や、免責を受けた書類を用意して、登録情報の抹消の依頼をするようになります。
当然消せない記録もありますので、その場合は内容について確認し、記録が消えるまでおとなしくしておく必要があります。
また、おかしな記録が無いにも関わらず、住宅ローンの審査に落ちた場合は、事件などの他の要素によっての審査落ちなので、再度深く検討する必要があります。