「マンションは価格が下がるから買うの待った方が良い」はある意味ホント

とある記事を目にしたので、地域差がかなりあることですが、分譲マンションの購入時の評価の考え方について、田舎の不動産屋さんが常に思っている意見を述べます。

「マンションは価格が下がるから買うの待った方が良い」という言葉は、ある意味本当である意味間違っています。

私が読ませて頂いた記事はこちらです。


この考え方も当然ありなのです。マンションが好きな人は、その生活スタイルに価値を求めるので。

「こちらの記事にもあるようにマンションは価格が下がるから買うの待った方が良い」はウソだと思うのも、

  • リフォーム・リノベーション市場は国が力を入れて拡大している

  • 増加した空き家63万戸のうち,一戸建が8割を占める


といった材料があり、

新築・中古マンション価格の推移を見るに当って、最近では都市部に位置する分譲マンションが新規供給・中古流通する割合が増えてきている影響から、都県毎のマンション価格は実態以上に上振れる傾向が強まっていますので、ここではそれらバイアスを極力抑えるために各主要都市でのデータを掲出してみました。
 程度の差こそありますが、いずれの主要都市でも新築マンションの価格高騰につられる形で中古マンション価格も上昇しており、また各築年帯でも概ね並行した動きを見せています。中古マンションでは基本的に築年帯によって価格水準に差(築浅>築古)がありますが、東京23区では「21年~30年」と「31年以上」でほとんど価格差が見られません。

引用元:不動産マーケット情報:2016年 新築マンションと中古マンションの市場動向総括【首都圏編】|不動産購入・不動産売却なら三井住友トラスト不動産


といったDATAもあるようです。

しかしこれらは部分的な対策で、一時的な効果のものです。

大きな時の流れの中で、根本的な国のあり方を変えなければいけない事を踏まえて考えてみましょう。

不動産の価格を決める根拠

これは歴史が語る絶対的ルールです。

バブルだろうがなんだろうが、不動産の価格を決める根拠となるのはあくまで

需要と供給のバランス

以外の何物でもありません。

需要があり、供給が少なければ価格は上昇し、逆に需要がなく供給が多ければ価格は下がります。

経済の理屈の基本がそのまま反映されます。

もちろん小さな例外はあるかもしれませんが、本流ではこの前提は崩れません。

この事を絶対的に理解してない一般の方が今も昔も多くいるのも同じで、目先の事で楽観的に判断される方が多いのです。

現場で働く人達でも、今やこの1~2年が良いだろうという状況があれば、楽観視してしまい、長期的ビジョンを持たないプロも多くいます。

この需要と供給のバランスの前提に基づいて、10年後20年後を見据えるのが価格については正しいのです。

この基本は押さえてくださいね。

マンションの価格はどうなのか?

日本の住宅市場はすでに「飽和状態」をはるかに通り越して「大幅に余剰」

● 平成25年10月1日現在における我が国の総住宅数は6063万戸(平成20年10月1日時点での総住宅数5759万戸)で,5年前と比較すると,304万戸の増加で,増加率は5.3%となりました。平成10年からの15年間では実に総住宅数が1000万戸以上増加しています。

引用元:マンションは今後10年後までに売却が絶対条件かも – マンション売却&戸建て住宅売却&査定&仲介手数料が無料で失敗しない後悔しない売却のコツとは。


とあるように日本全体の話で、供給が増加しています。

ではこれからの需要はどうでしょう?

購買層である25~50歳くらいの人口が減っていくのは間違いありませんのが、東京ではそのターニングポイントであるとされるのが2025年と言われていますね。

一方地方では既にそれが始まっていて、残念な地域では既に下落しまくっています。

タダでもいらない土地や建物が増えているのです。

という事は、同じことが東京でも少しずつ起こるわけで、リノベーションなんかに力を入れても大きなところでは意味がありません。

国は景気対策を打ち出すときには、基本的には公共事業と、民間の住宅供給に伴う政策を打ち出します。

なので、少し歯止めがかかった様になる瞬間はあるかもしれませんが、根本的に少子化対策をしなければバランスが成り立たないのです。

国土のグランドデザイン2050では98%の地域で人口が減少し、あらゆるニーズ=需要が激減していく事を表しています。

今現在は人口が東京へ一極集中している為、東京のマンションの需要はまだまだ高く、値崩れが起きていないのが実情です。

マンションと一戸建ての考え方

これは土地が余っている地方の考え方です。

マンションを購入する人はマンションの立地の利便性と、その生活スタイルに価値を見出します。

田舎においては少数派の意見ですが、確かに何らかの価値を見出し、マンションを購入される方もいます。

しかし大多数の人が

え?何でマンション?

と考えます。

その理由として、

  1. 土地がある

  2. 管理費等の毎月の固定経費が掛かる

  3. 狭い

といった理由が挙げられます。

わざわざ土地(購入できる土地)があるのに、狭いマンションに住む意味が解らない!

のです。

そして相続してしまうと一生ついて回る固定経費は、毎月の負担となり家計を圧迫します。

もちろん一戸建てでも固定資産税やリフォームといった費用は必要ですが、自分の意志でリフォームなんかは行えます。

決定権があるんですね。

この差は大きいです。

そもそも都会では土地が足りない為、マンションというものが普及し、やがて田舎に波及していきました。

土地が余ってしまう時代がやってくると、そのニーズは無くなっていくのは自然な事なので、東京のマンションで生活しなければいけないというニーズが減れば、必然と価格は下がっていきます。

不動産屋から見たマンションの問題点

  1. また土地が無い(敷地権)の為、金融機関の担保価値がそもそも低い事

  2. 相続人がおらず、管理できないゴーストマンションの増加

があげられます。

私の生活している田舎では、新築時の売値が3,000万円だとすると、金融機関の評価は2,000~2,400万円くらいです。

土地が無いため、その評価価値は6掛け7掛けが当たり前なのです。

同じ年数の戸建てだと100%評価してくれるのが基本で、土地の地域性によって土地の価格の判断をされ、±が生じます。

近年では全国的に地価が下がっているため、担保評価に重きを置くことは減ってきましたが、100%を超える融資を受ける場合にはやはり買う側の信用と返済能力が問われるので、所得の高い人や、自己資金=現金の割合が高い人しか購入しにくいというデメリットもあります。

購入しにくい=値段を下げていくことになるのです。

田舎の評価の仕方がそのまま使われるかというと、そうではないと思いますが、都会の金融機関の評価の考え方も当然変化していくものと推測できます。

「マンションは価格が下がるから買うの待った方が良い」というのは、この東京や大阪などの都市部以外では既に当たり前の事なので、それがそのうち波及するだろうという事から言われている言葉なのでしょう。


そして私が一番危惧しているのは、所有者不明でゴーストマンション化しているマンションが増加している点です。

限界マンションと言われているようですが、
「限界マンション」に日本の限界を見たを参考にして頂ければと思いますが、老朽化や空き家の増加により、廃墟と化したマンションが首都圏で急増している事実をご存知でしょうか?

マンションの建て替えや修繕は、管理組合の話し合いの元、規約によって定められていますが、3分の2以上の同意が必要であったりします。

その管理組合が存続できないほど空き家が増加し、過疎化してしまっているマンションですね。

そもそも価値があれば相続人が相続するでしょうし、相続人がいないケースも多々あるようです。

なので、そのまま老朽化するのを待つばかり・・・。

こうなってしまうと、マンションの価値を全く維持できず、価値云々ではなくなってしまうのです。

最終的には赤い国の金持ちが丸ごと買ってしまい、占拠してしまうようになるのではないかとさえ思ってしまいます。

買おうとしているマンションがそうならない程の立地条件や見通しの物であれば良いのですが、結構な確率で30年後、40年後はそうなってしまうでしょう。

だって東京ですら、2025年をピークに人口が減っていくんですから。

これは戸建てについても同じことが当然言えるのですが、戸建ての場合は自分一人、もしくは相続人数人の意見で処分や利用をできます。

しかしマンションはそうはいかないのが問題なのです。

憲法改正と同じくらいハードルの高い行為を求められるので、大変困難な事なのです。

そうなる前に売ってしまおう
と思うのはみんな同じなので、人気=需要が無くなるだろうと思われる地域の方は少しでも早く処分することが、金銭上のメリットを産むのです。

これまでの時代は東京の不動産の動向がゆっくり地方に移っていく感じでしたが、逆に地方の悲惨な状況が反映されていく可能性が高いと言えるでしょう。

マンションも戸建ても要不要が大切です

以上の事から私の意見としては、日本全体で不動産の価格が下がる中でも、比較的にマンションの方が下がりやすいという意見を持っています。

正直マンションの必要性が全く分からないからなのですが、・・・。

しかし戸建てを持ったとしてもその値下がりは確実だと考えています。

ということから、冒頭に戻って、「マンションは価格が下がるから買うの待った方が良い」の待った方が良い・・・というのは嘘ですね。

確かに10年待てば値段は下がるでしょう。

しかし人口減少地では、下がり続ける可能性が高いので(地方は下がり続けています)、東京では10年後~値下がりが始まる・・・と考えます。

20年待てばもっと価値が下がるでしょう。そういう要因しか見当たりませんから。

つまり、今買っても10年後に買っても結局値下がりする確率が高いので、待った方が良いのではなく、「いつ買っても価格は下がるだろう」が正解なのです。

という事で、これからは値段が下がるとか上がるとかではなく、その生活が必要か不要かで判断していく事の方が大切になるでしょう。

生活するところは必要ですよね?

賃貸で生活し続けてもお金は掛かります。

なので、どうせお金をかけるなら・・・

自分が望む生活スタイルにお金を掛けるのが正解だと思っています。

マンションの生活でも戸建ての生活でも賃貸生活でも、自分が思う生活の優先順位を考え、その生活スタイルにお金を掛けることを考えましょう。

その生活スタイルが自分に合っているのか?

必要な生活スタイルなのか不要なスタイルなのか?

という事を考えて決めることがより大切になるでしょう。

+子供がいるのであれば、その子供に負担を与えるかどうかも考慮に入れておくとよいでしょう。

貰ってもいらないような物を残されても迷惑なだけですから。

あ、最後にくれぐれもですが、短期的な話ではなく20年、30年のスパンでの全国的なお話なので、国が行う少子化対策の効果、短期的な事や特殊な地域性の事は全く考慮していませんので、その点だけは十分認識してくださいね。


2年経過した現在・・・追記



既にその現象はかなり進んでしまっているみたいですね。

今後、その需要は減少していくばかりなので、価格の下落は単純に加速していくのは目に見えていますね・・・。

そのうち、マンション建設業者やディベロッパーが倒産していき、既存のマンションについてもその価値が単純に保てなくなります。

物の値段を決める基本は、需要と供給のバランスです。

この根本が解決されない限りは、不動産の価値は下落していくものである事を認識しておく事が大切ですね。

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宅地建物取引士・行政書士です。 農地の売買、農地転用、任意売却、離婚相談、相続相談をメインに実務を毎日こなしています。 困った時はぜひご相談を!