一般の方は「農地を買いたい」というざっくりとした目的だけでは農地は購入できない事をご存知ですか?
農地法という素晴らしく大きな壁が立ち塞がっているのです。
それ故、農地を買う場合には、農地法をクリアするために
購入する側の
が必要です。
ここでは目的別に農地法をクリアするための許可申請の部分についてクローズアップして説明していきます。
市街化区域の農地における”届出”については、簡単な行為ですし、問題が起こる事もほぼありませんのでスルーしています。
主にこの記事で該当するのは、市街化調整区域・非線引き区域の第3種農地についての売買となります。
主にこの記事で該当するのは、市街化調整区域・非線引き区域の第3種農地についての売買となります。
目次
一般人が農地を買うにはどうすればいいの?
農地を買う場合には農地転用の許可申請時に、その目的が問われます。農地法は農地を守るための法律なので、農地の所有権移転や形質の変更に対してはハードルが設けられているんですね。
等など、その計画の内容と実効性について問われます。
そのハードルを越えて農地購入するための必要な方法や条件は、その目的によって変わりますので目的別に見ていきましょう。
農地購入の目的
- 農地を農地として利用するために買う・・・農地法第3条許可申請
- 農地を家を建てる為に買う・・・農地法第5条許可申請
- 農地を事業に利用するために買う・・・農地法第5条許可申請
- 農地を駐車場や資材置き場で利用するために買う・・・農地法第5条許可申請
これらについて見ていきます。
農地を農地として利用するために買う・・・農地法第3条
農地を農地として利用するという事は、あくまで農業を営むことが目的となります。この場合、農地法第3条の許可が必要になります。(市街化区域においても必要で、全ての農地において必要)
転用を伴わない権利の移転の場合は農地法第3条の許可が必要である
そしてこの場合の必要な条件が、買う側にあります。
それが農家である事です。
農家である事の基準は市町村によって若干規定面積が異なりますが、3,000㎡以上の農地について世帯で過去1年間継続して営農していて、市町村の農業委員会が管理する「農家基本台帳」に「農家」として登録されている事です。
じゃあ、農家で無い人は農地を農地として買えないの?
と言われるかもしれませんが、基本的にはそうなのです。
方法論になりますが、例外として、併せて3,000㎡以上の農地を取得する(賃貸する)、もしくは取得する農地を併せて3,000㎡以上になる、といった場合は、それによって基準が満たされる場合もあります。
※3,000㎡の面積の部分は市町村によって異なりますので、その都度確認が必要です。
私の居住地域ではこの面積制限が無くなりました。
しかし、購入した以上農地でのみの利用しか認められません。相当な理由が無ければ転用ができないのです。 改悪・・・
農家参入を促す意味合いなのでしょうけど、規制緩和ではなく結果規制強化になる・・・
新規の農家参入には確かに規制緩和かもしれませんが、都市計画区域内の土地という観点でいうと規制強化です。
人口も激減しているというのに、何を考えているんだ?と言いたいですね。
私の居住地域ではこの面積制限が無くなりました。
しかし、購入した以上農地でのみの利用しか認められません。相当な理由が無ければ転用ができないのです。 改悪・・・
農家参入を促す意味合いなのでしょうけど、規制緩和ではなく結果規制強化になる・・・
新規の農家参入には確かに規制緩和かもしれませんが、都市計画区域内の土地という観点でいうと規制強化です。
人口も激減しているというのに、何を考えているんだ?と言いたいですね。
そもそも農業を行う目的の場合は、それなりの広さが必要で経験があるという前提なんですね。
そうでなければ農家や農地を守り、自給率を確保できないだろうと言う、お役所の考え方です。
農地を農地として購入する際の面積制限、農家の権利の必要性については法改正により撤廃されました。
農地を売買、贈与、貸借する場合には、農地法第3条の規定に基づく農業委員会の許可が必要です。
このたび、農地法の一部改正により、この下限面積要件が令和5年4月1日から廃止されることになりました。
農林水産省:改正農地法の概要
農地を売買、贈与、貸借する場合には、農地法第3条の規定に基づく農業委員会の許可が必要です。
このたび、農地法の一部改正により、この下限面積要件が令和5年4月1日から廃止されることになりました。
農林水産省:改正農地法の概要
では、どうすればいいのか?
以下で説明するように、農地以外の目的で購入するしかないのです。
農地を取得する為の行動
仮に営農目的で、条件を満たしている場合に農地を更に購入したい等の場合は、耕作放棄地や気になる農地の所有者を調べ、直接売却のお願いをしてみるのが良いでしょう。
値段については、調整区域の第3種農地、第3種農地以外の場合、立地状況などを踏まえて、買う側の言い値でイイと思います。
その理由は、いくらでも売りたい人がいるからです。
売りたい人100に対して買いたい人1いるかいないか・・・という感じでは無いでしょうか。完全に感覚的な数字ですが。
調整区域以外の第3種農地の場合は、宅地化できますので価格の査定や調査が必要になってくるので、不動産業者や行政書士に介在してもらう形がベターです。
仮に営農目的で、条件を満たしている場合に農地を更に購入したい等の場合は、耕作放棄地や気になる農地の所有者を調べ、直接売却のお願いをしてみるのが良いでしょう。
値段については、調整区域の第3種農地、第3種農地以外の場合、立地状況などを踏まえて、買う側の言い値でイイと思います。
その理由は、いくらでも売りたい人がいるからです。
売りたい人100に対して買いたい人1いるかいないか・・・という感じでは無いでしょうか。完全に感覚的な数字ですが。
調整区域以外の第3種農地の場合は、宅地化できますので価格の査定や調査が必要になってくるので、不動産業者や行政書士に介在してもらう形がベターです。
小さい畑を買って家庭菜園をしたい場合
農地を農地として購入する条件をクリアできないが(農家でも営農する訳でもない)、少しの面積を購入して
”家庭菜園程度の事をしたい”
というケースがあると思います。
これについては、家を建てるなどの目的で農地転用の申請を行い、申請通り事業を達成し、農地法の縛りから解放された後に、庭の一部で家庭菜園を行う・・・という行為が一番いいかと思います。
固定資産税の課税は宅地課税となりますが、合法的な問題の無い行為です。
家を建てない人は?
となると、
というやり方が考えられます。
前者の場合は特に問題は発生しませんが、後者の場合は問題が発生する可能性があります。
申請に反した事を行っている為、他での農地転用の申請が受け付けられなくなったり、売却をしようとした場合には一度資材置き場や露店駐車場にする必要性が発生するもしくは農地転用を申請し直す必要が発生したりします。
農地法の縛りから解放されない為に、少しややこしくなってしまう訳ですね。
という事で、どうしても家庭菜園を行いたい場合は、結果的に宅地や雑種地を購入するのと変わらなくはなりますが、農地法が外れた状況を作っておくと良いと思います。
家を建てる為に農地を買う・・・農地法第5条
農地以外の利用目的で購入する場合は、農地転用第5条許可申請が必要(届け出制は除く)です。農地転用第5条許可申請における売買の大まかな流れは以下の感じです。
※測量・分筆については、農地転用申請前に必要になる事が多いです。
「空いている農地を購入して家を建てたい!」
といった場合に必要なのが農地転用第5条許可申請です。
家を建てる(自己用住宅)という目的の為に購入する様なケースですね。
転用を伴う権利移動の形になります。
不動産業者が仲介で農地を売り物件として取り扱っているケースが多いので、売り土地(農地)の場合はこの農地法第5条の申請で取引を行う形となります。
この場合、農地法第5条の届け出(市街化区域)もしくは許可(市街化区域以外)が必要になります。
条件としては、1件につき概ね500㎡の面積制限があります。(※運用上の制限です。各地域の農業委員会で確認してください。)
基本的に500㎡以上は許可が下りません。
例外としては、土地の活用にどうしてもあと50㎡必要であったり、地形の関係で残りの部分が利用できなくなるような場合には、多少の面積の緩和は取られるようです。
また、購入側には条件として
- 資金の証明 ・・・金融機関の残高証明や融資証明
- 購入目的の細かい詳細 ・・・なぜその農地が必要なのか?等
- 建築計画 ・・・敷地利用計画は適正か?その面積が必要なのか?等
- 水利権などの管理者の同意 ・・・水路などの排水利用は適正か?等
- 転用に関する意見書(地元土地改良区) ・・・排水計画や地上げによって周辺に影響は出ないか?水路の掃除・管理は適切に出来るのか?等
等の条件があり、それをクリアする方法として、行政書士等が調査を行い申請を行ってくれます。
届け出の場合はあまり気にする必要はありませんが、許可の場合は許可後でなければ所有権の移転は行えません。
つまり、条件を全てクリアしなければいけないんですね。
農地転用許可 ⇒
所有権移転 ⇒
造成工事 ⇒
家の建築
という流れになります。
事業に利用するために農地を買う・・・農地法第5条
事業に供する事が目的の場合は、特に農地法上の面積の制限はありません。しかし都市計画法や建築基準法で、開発許可が必要であったり、建物の面積制限があったりしますので、関係法規を十分に確認しておく必要があります。
形としては自己用住宅と同じで、転用を伴う権利移動の形になりますので、農地法第5条の届け出(市街化区域)もしくは許可(市街化区域以外)が必要になります。
購入側には条件として
- 資金の証明 ・・・金融機関の残高証明や融資証明
- 購入目的の細かい詳細 ・・・なぜその農地が必要なのか?等
- 建築計画 ・・・敷地利用計画は適正か?その面積が必要なのか?等
- 事業計画 ・・・資金計画と事業実施の整合性の判断
- 土地利用計画 ・・・どのように土地を利用し事業を行うのか?それは適正か?
- 法人の定款 ・・・そもそも企業の事業内容として目的とされているのか?
- 水利権などの管理者の同意 ・・・水路などの排水利用は適正か?等
- 転用に関する意見書(地元土地改良区) ・・・排水計画や地上げによって周辺に影響は出ないか?水路の掃除・管理は適切に出来るのか?等
事業の内容についても細かくチェックされるんです。
それをクリアする方法として、行政書士等が調査を行い申請を行ってくれますので、プロに依頼するのが通常でしょう。
駐車場や資材置き場で利用するために農地を買う
駐車場や資材置き場での利用が目的での利用の場合は、特に農地法上の面積の制限はありません。都市計画法上の開発許可も不要です。
形としては事業用の場合と同じで、転用を伴う権利移動の形になりますので、農地法第5条の届け出(市街化区域)もしくは許可(市街化区域以外)が必要になります。
購入側には条件として
- 資金の証明 ・・・金融機関の残高証明や融資証明
- 購入目的の細かい詳細 ・・・なぜその農地が必要なのか?等
- 建築計画 ・・・敷地利用計画は適正か?その面積が必要なのか?等
- 事業計画 ・・・資金計画と事業実施の整合性の判断
- 土地利用計画 ・・・どのように土地を利用し事業を行うのか?それは適正か?
- 法人の定款 ・・・そもそも企業の事業内容として目的とされているのか?
- 水利権などの管理者の同意 ・・・水路などの排水利用は適正か?等
- 転用に関する意見書(地元土地改良区) ・・・排水計画や地上げによって周辺に影響は出ないか?水路の掃除・管理は適切に出来るのか?等
等の条件があり、自己用住宅に比べ、クリアすべき項目が増えます。
どちらかというと、土地の利用計画について細かく精査されます。
なぜその資材置き場が必要なのか?
なぜその面積が必要なのか?
駐車場は何台止めれて採算は合うのか?
等の計画の整合性を問われます。
こちらもクリアする方法として、行政書士等が調査を行い申請を行ってくれますので、プロに依頼するのが通常でしょう。
農地を購入する時の必要費用
農地を購入する際には経費として色んな費用が掛かります。売主が払う物なのか?買主が支払う物なのか?
という事も含めて、簡単にまとめてみます。
項目 |
要・不要 |
支払者 |
支払先 |
---|---|---|---|
測量費用 |
△ |
売主(買主) |
土地家屋調査士 |
農地転用申請費用 |
△ |
売主・買主 |
行政書士 |
改良区負担金 |
△ |
売主・買主 |
土地改良区 |
登録免許税 |
〇 |
買主 |
税+司法書士 |
仲介手数料等 |
△ |
売主・買主 |
不動産業者等 |
造成費用 |
△ |
売主・買主 |
土木業者 |
それぞれみていきます。
測量費用
地域にもよりますが、農地転用の意見書を入手する際の条件として、「境界査定」が条件とされるケースがあります。また、分筆を行う際は必ず必要な行為になるので、必要経費と思っておくと良いでしょう。
基本的には売主が負担すべき費用と作業ですが、契約の条件・内容によっては買主が負担するケースもあり得ます。
測量行為は土地家屋調査士が行いますので、出来のイイ土地家屋調査士を探しましょう。
農地転用申請費用
本人申請で買主・売主が直接申請する事も可能ですので、この場合は不要な費用となります。ただ、面倒な作業や聞いたことが無い行為をする事となるので、通常は行政書士に依頼する場合が多いと思います。
費用の負担については、どちらが負担するという決まりはありません。
お互いの取り決めや慣行によって変わります。
改良区負担金
農道や水路の管理をしているのが地域に存在する土地改良区という団体です。などが必要になります。
架橋や雨水は買主側が負担・・・事業を行う為に発生するお金だから
改良区決済金は売主が負担・・・他の農家の負担を軽減させるための性質がある為
登録免許税
名義移転の際に発生する税金が登録免許税です。本人申請する場合を除いて、司法書士へ登記の依頼をする事になると思いますので、司法書士の費用も必要です。
買主側が負担するのが慣例となっています。
買主の名義にする為の税金ですので当たり前と言えば当たり前ですが、司法書士費用については地域の慣例に基づいて取り決めがなされているケースがほとんどだと思います。
仲介手数料等
農地の売買に際して不動産業者等が介在している場合は、仲介手数料等の斡旋にかかる費用が発生します。不動産業者の場合ですと、売主・買主双方から3%+6万円と消費税というのが基本です。
造成費用
買主が行う場合は買主が負担。売主が行う場合は売主が負担。売買契約の内容によって、どちらが工事を行うかが定められているので、契約内容の確認をしてください。
農地を買う!まとめ
農地を買う時の条件について簡単に見てきましたが、概ね一般の方がいきなりやっても理解不能な事の方が多いでしょう。また、関係管理者等との兼ね合いも地域によって言われることが様々です。
スムーズに農地を購入するためには、はっきりとした目的を持って、条件をクリアしていくためにプロの行政書士に依頼するのが良いでしょう。
その方法論やテクニックについて長けている行政書士を探しましょう^^
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