代位弁済の意味を正確に知らない不動産業者の方が圧倒的に多いことは、実務に携わる者からすると驚きとしか言いようがないのですが・・・。
当然不動産屋が知らないのに、一般の人が知るわけもなく、知らない一般の方と知らないナンチャッテな輩が任意売却を見よう見まねで間違えているのを何度も見てきました。
同じ不動産屋として恥ずかしい限りです。
代位弁済していない(なる予定も無い)のに「任意売却物件です」と言われたときは、さすがに呆れて口が利けませんでした。
ここではその言葉の意味と、代位弁済の通知が来た方が失敗しない為の知識を学びましょう。
代位弁済とは
代位弁済とは
代位弁済の場合の代位とは、弁済者が債権者が有していた原債権を取得することをいう。
保証人が保証債務の履行を求められ、債務者に代わって弁済した場合には、債務者に対する求償権が発生し(459条・462条)、第三者が債務者に代わって第三者弁済をした場合には、弁済委託があれば民法第650条に基づき、弁済委託がなければ民法第702条に基づき求償権が発生する。代位弁済は、これらの請求権のほかに、債権者が有していた債務者に対する債権に、弁済者が代位することも認めるものである。引用元: 代位弁済 Wiki
この記述は正しいのですが、難しいですよね?
こちらは微妙(省略されて?)にズレています。
代位弁済とはあなたに代わって、銀行の子会社があなたの借金を立て替えて払って くれる制度です。しかし・・・情報提供元:住宅ローン緊急相談室.
引用元: 代位弁済とは?
実務の流れなんかは正解ですし、住宅ローンのみのお話しでは簡単にわかりやすく説明してくれています。
”代位弁済”はローンを滞納すると出てくる言葉ですが・・・
それまでは銀行に返済いていた住宅ローンですが、銀行は受け取ってくれなくなります。
代わりに代位して弁済した者(保証会社やサービサーですね)にその返済をしなければなりません。
これは個人間でもそうです。友達の借金を肩代わりしてあげれば、友達から少しずつ返済してもらう・・・そういった形とほぼ同じです。
代位弁済されるとどうなるのか?
私の所への相談の多くは、この代位弁済の通知後に相談に来られます。実はこの代位弁済の前と後では劇的に債務者の立ち位置は変わってきます。
期限の利益を喪失し(分割して返済する権利が無くなる)、代位弁済後の債権者の権利が変わると言い変えた方が良いでしょうか。
具体的には代位弁済後の債権者には2つの権利が発生します。
- 求償権に基づき、残った債務について直ちに全額弁済を求めることができるようになる つまり残債について一括で全額払うように請求する権利が発生するのです。
- 抵当権の実行 全額返済が不可能であれば、担保物件である土地・建物について抵当権の実行=競売をし、換価して債務の回収が行われるのです。
(※金融機関にかわって返済をしてもらう権利を求償権と言います。)
当然保証人や連帯保証人にも一括で請求が行われますので、注意が必要です。
この2つの権利の行使をお願いをして待ってもらい、”少しでも高く売却をして債務の弁済に充てる”というのが任意売却です。
そもそも一括で返済するだけの資力があれば代位弁済の予告なんて来ませんので、待っているのは競売です。
任意売却をお願いしても債権者が拒否すればそれまでです。
この期限の利益の喪失という代位弁済の本質を理解していない不動産屋がほとんどなので、任意売却をする時は業者選びは要注意です。
そもそも任意売却ですらないのに、任意売却と言っている素人が”任意売却相談”という広告を掲げているのは本当にお笑いです^^)。
代位弁済通知が来た時の対処法とは?
- 金融機関に連絡すること。
- 任意売却の本当のプロに相談する事
状況によっては、弁護士さんも必要になるので、この分野に長けた業者を見つけることが重要です。
そして、この段階で大切なのは開き直って怒らない事です。
中には怒って物を言う方がおられるのですが、完全に逆効果満点です。
思い出してください、債権者の権利を。
一括弁済か競売です。
怒る事で解決すればよいですが、通常は非協力的と言う事で、任意売却の道が閉ざされます。
A債権・B債権という呼び方をしていましたが、この非協力的な場合はB債権と呼ばれ、やはり扱いが悪くなります。
不良債権の中でも色分けはされているのです。
少しそれましたが、冷静に相談することが大切です。
この連絡や相談を一切しない方が約半数位おられます。
とても損な事なのですが、開き直っているのか、あきらめているのか、そのまま競売になる方も実際におられます。
できるのであれば代位弁済前に相談頂ければ、選択の幅は広がるのですが、代位弁済の通知が来てしまったなら、あなたの損失を抑える為、少しでも早く新しい生活をスタートさせる為にも、ご相談ください。
弁護士さんと違って相談は当然無料ですし、何らかの方法論が見えてくれば気分もすごく楽になります。
代位弁済された後でも、状況によっては弁護士さんによる債務整理が可能な場合も有りますし、「巻き戻し」といって代位弁済前の状態へ戻す事が可能なケースもあります。
この場合分割での支払いが可能になったり、再生プログラムによる安定した支払いになったりします。
かなりレアなケースですが、状況によってはあり得ますので、弁護士に相談するのが正しいケースと言えます。
任売のプロに相談した上で、弁護士さんへという形でも良いでしょう。
代位弁済後のリスク
代位弁済がなされると、一括弁済と競売の2つの権利が代位弁済を行った者に発生することはここまで述べました。保証会社などが絶対の権利を持つようになる訳です。
それでも開き直ってしまっている方には、よく認識してほしいリスクがそのほかにも存在します。
- 信用情報の登録 支払いが滞っている訳なので、当然その履歴は信用情報に登録されます。
- 保証人に対する請求 ローンの保証人にも請求が当然行われます。
これによってその他の借り入れが困難になったりしますので、車をローンで購入したり、借家を借りる際に保証が受けれなかったりと、生活にも影響がでます。
最悪、保証人の家や土地についても競売に掛けられる可能性もあります。
要は代位弁済されてしまうと、第3者にも迷惑が及び、生活にも支障が出てくるのです。
そうすることで、少しでも早く自身の生活を取り戻すことができるんですから。