離婚による財産分与の基本的な考え方とは?

離婚に際してお互いに取り決めを行っておくべき事があります。

  1. 財産分与
  2. 慰謝料
  3. 親権
  4. 養育費
  5. その他

これらは将来的なトラブルを避けるためにも、きちんと話し合い決めておく事が望ましい事です。

もちろん相手がある事ですので、全く非協力的な場合は成立しませんので、その場合は調停や裁判といった形での話し合いとなります。

ここでは財産分与についての基本的な考え方について見ていきます。

※財産分与について裁判所に訴えようとしても、離婚から2年経過すると裁判所は訴えを受理してくれませんのでご注意ください。

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離婚による財産分与とは

財産分与とは、結婚期間中に夫婦が築いた財産を分割する手続きです。

ここでの考え方として大切な事として、

財産の名義は問いませんので、夫名義の預貯金、妻名義の有価証券も、結婚期間中に増えたものが対象となります。

財産の名義によるのではなく実質的な判断によります。

婚姻中に夫婦の協力により形成・維持されてきた財産であれば、名義を問わず、財産分与の対象である共有財産との判断がなされるのです。


財産分与の対象になる代表的な財産は以下の通りです。

  • 現金
  • 預貯金
  • 不動産
  • 自動車
  • 有価証券
  • 家具家電などの家財
  • 保険
  • 給与
  • 退職金
  • 負債(借金)


※夫婦のどちらかが独身時代から所有していたもの、結婚期間中でも夫婦のどちらかが贈与や遺贈、相続を受けたものは対象外となります。

あくまで結婚期間中に夫婦の協力で増えたものが財産分与の対象となります。

財産分与の対象となる財産は、原則として「婚姻時」を基準に確定されます。

そのため、離婚前であっても、別居後に取得された財産については、財産分与の対象にはならないと考えられています。

これは、たとえ婚姻関係が継続していたとしても、別居後については夫婦が協力して得た財産とはいえないという考え方にもとづいています。

財産分与の対象にはならない財産として、「特有財産」というものがあります。

特有財産とは、「婚姻前から片方が有していた財産」と「婚姻中であっても夫婦の協力とは無関係に取得した財産」のことをいいます(民法762条1項)。

婚姻前から片方が有していた財産」とは、たとえば、独身時代に貯めた定期預金などが考えられます。

婚姻中であっても夫婦の協力とは無関係に取得した財産」とは、たとえば、婚姻中に発生した相続によって得た不動産などが考えられます。

※ただし、特有財産にあたる財産でも、婚姻後に夫婦が協力したことによって価値が維持されたといえる場合や、価値が増加したのは夫婦の貢献があったからだといえるような場合には、貢献度の割合に応じて財産分与の対象とされる場合もあります。

財産分与の割合について


財産分与の分割割合は、「原則二分の一」となっています。

夫よりも妻の収入が低い、もしくは専業主婦で無収入だとしても、二分の一で分割されることがほとんどです。

極まれに訴訟等でそれ以外の割合になることもありますが、一般的な世帯であればほぼ半分ずつ分ける事になります。

※特殊能力を持っていて個人の力量で高額収入があり、それによって財産形成がなされたと認められるようなケースは2分の1ではなく修正がなされる事もあります。

マイナスの財産(負債)について


たとえば、夫がパチンコのために借り入れた多額の借金は、財産分与の対象になるのか?

これは流石にNO!です。

借金などの債務については、夫婦の共同生活を営むために生じた借金であれば、夫婦共同の債務として財産分与において考慮されるべきことになります。

住宅ローン等ですね。

それとは反して、自分のために借り入れた個人的な借金は、財産分与において考慮されないと考えられています。

そのため、パチンコのために借入をした借金は、財産分与においては考慮する必要はないとの結論になります。


実務上では、夫婦の共有財産(プラスの財産)と夫婦の共同生活を営むために生じた債務(マイナスの財産)がある場合には、プラスがマイナスを上回るという場合に、その合計のプラスの財産からマイナスの財産を差し引いた残額を分配するという処理がされるのが一般的です。

負債を含めた計算をして原則2分の1とするわけですね。

財産分与の方法


財産分与の方法は、次のような方法によります。

  • 話し合い(協議)によって財産分与を取り決め
  • これが一番簡単で費用が掛かりません。

    財産分与は当事者が納得さえすれば、当事者の合意によって自由に定めることができます。

    ※ただし、当事者間のみで取り決めをすると財産分与の対象財産に漏れがあったり、その計算方法を間違ってしまうこともあるので、財産分与の対象財産がいくつかあるような複雑なケースでは、弁護士に依頼することをおすすめします。

    財産分与の形としては

    1. 不動産や自動車等の財産を自分が保持する代わりに相手に金銭の支払をする
    2. 対象財産を売却して利益を分割する
    3. 現物による分与をする

    等、さまざまな方法が可能です。

    取り決めをした場合には、その内容を記載した文書を作成することが一般的です。

    養育費など、将来にわたって分割で支払ってもらうような場合には、支払が滞る危険性もありますので、給与の差押え等がすぐにできるよう、公正証書を作成しておくことが望ましいでしょう。

  • 当事者の話し合いでまとまらない場合


離婚調停、離婚審判、離婚訴訟といった裁判所の手続を通して決めていくことになります。

仮に、これらの裁判所を通じた手続になる場合は、離婚協議(話し合いによる離婚)の場合以上に専門的な知識が必要となってきますので、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。

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