不動産の買付証明と建物調査の申し込み関するトラブルについて、現在進行形で実際に起こった事と、その責任について考えてみます。
不動産を購入しようと考えられている方の参考になれば幸いです。
買付証明と建物調査
凄く人気がある物件がありました。広告をしてその日に数件の問い合わせがあり、内見を行い、同時に3組が正に申し込みをいつ行うだろうか?
という早い者勝ち状況になった中古住宅です。
物件的にはかなりイイ物件だと言えるでしょう。
その内の一組の方が最初に購入の申し込みをしたいと言う連絡を頂いたのですが・・・。
申し込みをしたいが、
Aさんのご希望
というご希望がありました。
売主様にその旨を報告し相談させて頂いた結果、了承頂きましたので、Aさんから売買物件の申し込みに当たる買付証明(1/10)と建物状況調査(1/13)についての合意書を署名頂きました。
※ここでのポイントは建物調査を実施した上でその後に売買契約となるので、売主様はその申し込みを受ける事で、時間的制約と他のお客様に対する販売の機会を失う形となることです。
1月10日の時点で他の2組のお客様には状況を説明し、キャンセル待ちの状況になっている事をお伝えしています。
建物状況調査についての合意書の内容
1月13日に建物調査についての合意書を頂いたので、申請書類を整え、検査機関へ調査依頼の申し込みを行いました。
1月17日 午前中のうちにAさんから売買についてのキャンセルをしたいとの連絡を頂きました。
という一方的で意味不明な物でした。
同僚や上司が嫌いな訳でもなく、現在トラブルがある訳でもない。
つまり、起こってもいない、未来に起こるかどうかもわからない事を理由に、キャンセルをしたいと言う訳です。
正直、子供が何かを誤魔化すときの嘘の様な言い訳なのでツッコミはしましたが、感情的な部分でのいい訳ですので、理屈で説明しても得心はしないだろうと判断しました。
建物調査のキャンセルが出来るかどうかについては確認をするという事でその場は一度納めました。
その上で再度、検査機関と合意書について確認を行いました。
- 検査機関の返事は1月17日中であればキャンセル可能であるという返答・・・Aさんに対し17日のうちに3度携帯電話に連絡を入れたが返信無し。
- 合意書では返金不可
- 売主様は建物調査によって制約をされており、当然ながら建物調査は行われる物と考えられる・・・建物調査をする間待って下さい ⇒ 問題なければ契約します という内容での買付証明である(それに対して時間的承諾をしてくれている)
- 調査の発注者はあくまで当社にある・・・登録企業
これらの事から、あくまで建物調査は行われるべきであるし、発注者である当社がキャンセルしないとキャンセルできない訳です。
当方にも細かい部分で念押し、確認をしていなかった部分もありますし、建物調査のキャンセルについて説明不足であった点が正直あると思います。
しかしながら一般的に考えて、同じような境遇になった方が居られた場合には理解しておいて欲しいです。
買付証明や申し込みと言われる書類に法的拘束力は有りませんので、売買契約に至らない事も当然あります。
ただ、そこに何らかの条件が付いた場合や、費用が発生するような事が付随する際には、そこに責任がついて回るという事を。
相手方のみを制約し、自分には責任が無いと言う考え方はどうかと思います。
もちろん、正当な理由がある場合には仕方がありませんが、他人を動かし、何らかの負担や迷惑を掛けた場合は、謙虚に自分の落ち度について考えてみて欲しいです。
今回のケースでは、自分の都合をゴリ押しすれば、建物調査もキャンセルできるかもしれません。
しかしながら、売主様の売却について著しく制限をし、利益を損なった事についてのお詫びの一つもなく自分の都合のみを押し通そうとする姿は、気持ちのイイ物ではありません。
場合によっては機会の喪失についての損害賠償すら考えられます。
今回のケースでは実際に、売主様が直接断られた方を含め、3組の他の方々にお断りをしている情況です。
私が応対した2組の方々も、あと少し時間さえあれば申し込みを行ってくれそうな方でした。
Aさんには関係無い事かもしれません。
私がもう少しうまくバランスを取っていれば良かったのかもしれません。
けれども確実に売主様の権利を侵害している事は間違いない事実です。
この2点から、売主様の了承があれば建物状況調査についてもキャンセルができると言うのが、私の見解です。
が、買付に対する正当な理由が無く、建物調査についての合意がある訳なので、17日の連絡が無かった点も含め、建物調査についてのキャンセルは出来ない事をお伝えする事にしました。
18日本日連絡が取れ、売買契約についてはキャンセルし、建物調査については費用を払って頂く旨をお伝えさせて頂きました。
Aさんは納得され電話を切ったのですが、1時間後、奥様から連絡がありました。
まだやってもいない調査の費用は払いたくない。
なぜ払わなければいけないの?
なぜ払わなければいけないの?
言い分がわからなくもないですが、
をお伝えした。
直接検査機関へ連絡して取り消すから、連絡してもいいわね!?
どうぞして下さい。発注者はあくまで当社で、当社がA様からの依頼で動いていますので多分無理だと思いますよ?
納得できない!信用してたのに、こんなのおかしいでしょ!
感情的になられていた上に、私も説明が下手だったと自覚していますが・・・
この時には私も説明不足でしたが、こうして文章にして考えてみると良くわかりますね。
合意書には
と記載されており、同意されている。
これらの点が理解できていれば、説明は簡単にできたと思うのですが、実際はとても下手くそな説明でしたね(>_<)
この件が現実的にどう解決するかはまだわかりませんが、買付証明や申し込みをする際に、建物調査などで時間や費用を要する場合は、事前にどのようなデメリットがあるのかを理解しておく必要があると言えますね。
また、後追い報告させて頂きます。
今回のトラブルの要点
- 買付証明には法的拘束力がなく、売買契約には至らない事もある。
- 売主側に時間的拘束、販売機会の喪失という損失を与える事がある。
- 建物調査を行う際には時間と費用が発生する為、売買契約キャンセル時の事を明確にしておく必要がある。
建物調査についてもキャンセルできるならして欲しい。