不動産を評価する4つの価格
不動産は一物四価といわれ、1つの不動産に4つの価格評価が存在します。- 実勢価格(時価)
- 固定資産評価額
- 路線価(相続税評価)
- 公示価格(基準価格等)
この4つなのですが、それぞれの存在意義を理解する事で、実勢価格(時価)をある程度把握できる事もありました。
しかし現在では、長引くデフレの影響でそれぞれの価格に開きがあり、実勢価格とはかけ離れてしまっている実情もありますので、それぞれの価格の意味を理解しておく事が”勘違い”を生まない為にも必要な知識だと思います。
固定資産評価額
固定資産評価額は市町村が固定資産税・都市計画税を徴収するための基準になる価格です。不動産取得時に課税される「不動産取得税」、登記時に課税される「登録免許税」についても固定資産評価額を元に計算されます。
固定資産税評価額は各自治体が個別に決定しています。
私の自治体では3年に1度見直しがあります。
また、固定資産税評価額は各自治体にて取得申請をする事で、その証明書が取得できます。
固定資産税評価額は公示地価の7割を目途とする価格である為、実勢価格の参考値として利用される事もありますし、金融機関の不動産担保評価にも利用されています。
地方においてはこの固定資産税評価額の前後で売買事例が多く存在するため、公示地価の7割を目途とされてはいますが、実勢価格に近い数字であるとも言えるようになってきています。
路線価
路線価は国が相続税や贈与税を徴収するための基準になる価格です。路線価価格は基本的に幹線道路に対してその道路に面する標準的な土地の、1㎡あたりの評価価格で、国税庁が毎年発表していて国税庁のホームページで閲覧する事が可能です。
路線価は税を徴収するための価格なので、実勢価格とは大きく開きがあります。
土地取引の指標となる公示地価(地価公示価格)の8割程度の価格となっている事が多いとされていますが、地方においては路線価を下回る売買事例が多く見受けられるようになって久しいですね。
なので、実勢価格の参考値としては利用されないケースの方が多いのが現在の実情です。
公示価格(基準価格等)
公示価格は地価公示法にもとづいて土地鑑定委員会が公表する土地の価格です。毎年1月1日時点のその正常価格を2名以上の複数の不動産鑑定士が鑑定し、土地鑑定委員会で審査して決定した価格であり、国土交通省より同年3月下旬に公表されます。
公共事業のための用地買収価格は、この価格を規準に決めなければならないとされています。
また、民間の土地取引においてもこれを指標とするよう努めるべきとされている為、基本的には実勢価格に一番近い物と言えます。
ただ、調査から公示までに時間差が生まれる為、実勢価格との相違が生まれるケースも多く存在します。
なお各都道府県も、毎年7月1日時点でほぼ同様の調査を不動産鑑定士1名以上により実施し、「都道府県基準地標準価格」として公表してます。
こちらについても同様で、時間差が生まれる為、実勢価格との相違が生まれるケースも多く存在します。
相違がみられるケースも多々ありますが、我々不動産業者も物件査定においてその価格を引用し、根拠とする事が多いので、所有する不動産の参考値としては十分だと思います。
実勢価格(時価)
実勢価格を求める為には上記の3つの評価価格を参考にする方法に加え、直近での周辺売買事例を利用します。値下がりの激しい地域、供給過多で需要が少ない地域では当然事例価格よりも低い実勢価格となりますし、地域性やその需給バランスの把握が必要になってきます。
昨今では新築マンションが完成時に余っているというニュースも多く見かけるようになってきましたね。
これらは明らかに需要が少なく、供給過多に陥っている事例です。
実勢価格が下落している中では、半年前の相場価格を設定しても売却はできません。
この辺の需給バランスの把握は、やはりプロの不動産業者でなければわからない所でしょう。
田舎になればなるほど、需要は激減していますので、実際の不動産価格が知りたい場合は、やはりプロに査定依頼するのが正解です。
間違っても他の3つの価格を元に値打ちをこかない様にしましょう。
知ったかさんになってしまいますので。
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。