
この田んぼを売ってください。
こういった売却や査定の依頼がよくあります。
不動産業者は田んぼや農地を売る為に、売れやすい形に加工する事を考えます。
今回の依頼は、完全な住宅地向きの”田んぼ”なので、住宅向けで売却するための加工を考えてみました。
農地を売りたい方が考えている価格と、実際に売ろうとしたときの提示価格とには開きが生じるケースも多々あります。
今回のケースは、田んぼなどの農地の価格を算出するうえでも参考になると思います。
実は私に相談があった段階で、他の不動産業者に査定を依頼しており坪18万円の評価が出されていました。

217.8坪×18万円で3,920万・・・もう少し・・・
つまりそれ以上で売りたいと考えていた訳です。
田んぼなどの農地を売れやすい形に加工する
全体で720㎡・・・500㎡を超えているので、個人住宅であれば2区画以上に分けて売る必要があります。・・・・参考記事を参照ください。
そのうえで、売りやすい・売れやすい形に整えていく事が重要です。
今回の場合、考えられるパターンが2通りあります。
進入路を作り、区画数を増やすパターンと、道路状況から2つに分割して売却するパターンです。
田んぼを整形地に区画くしていく
区画数を増やす・・・恐らく失敗パターン
この図では4区画になっていますが、3区画でも理屈は同じです。
間口である東西が8mしかなく、建物が限定される為、一般的な間取りの建物が配置できないのです。
都会ではこれで十分すぎるでしょう。
しかし田舎では余程特殊な事情が無い限り、狭小住宅が好まれることはありません。
また、車を敷地内に最低2台、駐車できるスペースが必要と考えられています。
そういった理由から、整形地の基準が
東西12m、南北15m、200㎡
5間×4間の家の配置ができる
とされています。
区画するときの考え方として、まずは整形地を基準に建物の配置と道路を考えます。
4区画で分割すると120㎡ずつ、3区画だと160㎡ずつの区画となりますが、整形地の要件は満たしません。
まだ3区画の方がマシといった感じでしょうか。
何より4mの進入路を確保しているので、240㎡分は評価0になります。
坪18万円という評価はあくまで整形地である造成された土地の、有効宅地部分における評価なのですが、その説明が地主さんにはなされていませんでした。
3区画で売却した場合の計算がこちら(click!)

狭小地である為、単価を少し下げています。
進入路部分は0円です。
税引き前でも1675万円程・・・4,000万円の半分にもなりません。
本来区画を増やせば単価はMAXに近づくのですが、現実的には・・・
2区画・・・現実的パターン
このパターンは道路負担が無くなり、若干ですが掛かる経費も少なくなります。
しかしながら、面積を増大させた分、購入者の層が減りますので、単価は下げなければいけません。
2区画で売却した場合の計算がこちら(click!)

単価設定が難しくなるのですが、10.5万円まで下げても3区画のパターンより手取りが増えます。
10年昔に比べ土地の単価が落ちている為、広めの敷地を求めている人の割合が増えていますので、こちらのパターンで売却するのが正解だと考えます。
総額が増える分、購入者が限られることが最大のネックですが・・・。
その分東西の幅が確保出来ている事と敷地が広い事で、建物の配置で困る事は少ないでしょう。
現実的には13~15万円くらいの単価で販売するような形になると考えられるので、やはりこのパターンが私のおすすめでした。
現実の反応

え、4,000万円はするんじゃ・・・?

整形地で200㎡くらいに区画できれば単価は確かに18万円でいいと思います。
それには道路の負担や造成工事が必要で、その説明はありましたか?
それには道路の負担や造成工事が必要で、その説明はありましたか?

いや、全く無かった。

もし私の説明で納得できないのでしたら、真剣に向き合ってくれる、他の不動産屋にでもきちんとした査定をしてもらってください。
ほとんど差が無く、同じ内容の説明をされると思いますよ?
ほとんど差が無く、同じ内容の説明をされると思いますよ?
後日、ご自身で納得された様子で、

あんたにまかせるから、売ってきて!
とのお言葉を頂きました。
田んぼ等の農地の売却の場合には、その立地条件や形によって価格が変化します。
そこには他にも、水道や排水、雨水の排出状況や、道路との高低差等の生活に関する要素を考慮していく必要性があり、正確な知識を持って、正確な査定をする必要性があります。
農地の売却で失敗しないように、正しいプロの相談相手を見つけることが大切ですね^^