田んぼを売りました。田んぼを売る時の実話。農地売却事例3

  1. 売れやすい形を考える
  2. 整形地に加工していく

田んぼを売る基本的な方法は上記の2つです。

田んぼを売りたい人は全国に溢れていると思います。

耕作できない、相続しても不要・・・等、理由は様々ですが、ここでは実際にあった事例を元に、田んぼを売る方法を見ていきましょう。

他の記事で書きましたが、「田んぼには相場はありません」ので、田んぼを売りたい方は、基本的考え方について覚えておくと価格を把握する為にも、実際に売る為にも役に立つはずです。


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田んぼを売る具体的方法とは?

とある日の田んぼの所有者さんから、「田んぼを処分したい」という相談を頂きました。

地主さん
この田んぼを売ってください。


  • 非線引き区域の第3種農地

  • 建売制限はなし
  • ・・・旧市街化区域の農地についての運用




    こういった売却や査定の依頼がよくあります。


    農地を農地のまま・・・農業をする目的で購入しようとする人の割合はかなり低いです。

    当然ですよね。

    農家では無い人の方が圧倒的に多い訳ですし、新規で農業をしようという人の数も圧倒的に少ない。

    だから、不動産業者は田んぼや畑を売る為に、農地以外の物での需要を考え

    売れやすい形購入しやすい形に加工する事を考えます。

    農地転用を行い、第3者へ売却しやすい方法を考えるのです。


    今回の依頼では、完全な住宅地向きの”田んぼ”なので、住宅向けで売却するための加工を考えてみました。

    農地を売りたい方が考えている価格と、実際に売ろうとしたときの提示価格とには開きが生じるケースも多々あります。

    今回のケースは、田んぼなどの農地の価格を算出するうえでも参考になると思います。

    実は私に相談があった段階で、他の不動産業者に査定を依頼しており坪18万円の評価が出されていました。

    地主さんの心
    217.8坪×18万円で3,920万・・・もう少し・・・
    つまり地主さんはそれ以上で少しでも高く売りたいと考えていた訳です。

    不動産の売主さんであれば当然といえば当然です。

    少しでも高く売りたい!

    この願望は万人に共通する欲望です。

    不動産業者はそれを実現するために、田んぼや畑を売りやすい形へする事を考えていくわけです。

    田んぼなどの農地を売れやすい形に加工する

    全体で720㎡・・・500㎡を超えているので、個人住宅であれば2区画以上に分けて売る必要があります。(※地域によっては500㎡ではない為、確認が必要です。)

    ・・・・参考記事を参照ください。


    そのうえで、売りやすい・売れやすい形に整えていく事が重要です。

    今回の田んぼの場合、考えられるパターンが2通りあります。

    田んぼの敷地内に進入路を作り、区画数を増やすパターンと、接道道路状況から2つに分割して売却するパターンです。

    田んぼを整形地に区画くしていく

    区画数を増やす・・・恐らく失敗パターン

    田んぼを区画するときの考え方

  • 整形地を基準に建物が配置を考えながら区画する

  • 進入道路を建築基準法に則り確保する


  • この図では間口である東西が8mしかなく、建物が限定される為、一般的な間取りの建物が配置できないのです。

    都会ではこれで十分かもしれません。

    しかし田舎では余程特殊な事情が無い限り、狭小住宅が好まれることはありません。

    また、車を敷地内に最低2台、駐車できるスペースが必要と考えられています。

    そういった理由からこの地域では、整形地の基準が

    東西12m、南北15m、200㎡

    5間×4間の家の配置ができる

    とされています。

    区画するときの考え方として、まずは整形地を基準に建物の配置と道路を考えます。

    4区画で分割すると120㎡ずつ、3区画だと160㎡ずつの区画となりますが、整形地の要件は満たしません。

    まだ3区画の方がマシといった感じでしょうか。

    何より4mの進入路を確保しているので、240㎡分は評価0になります。

    坪18万円という評価はあくまで整形地である造成された土地の、有効宅地部分における評価なのですが、その説明が地主さんにはなされていませんでした。

    3区画で売却した場合の計算がこちら(click!)

    狭小地である為、単価を少し下げています。

    進入路部分は0円です。

    税引き前でも1675万円程・・・4,000万円の半分にもなりません。

    本来区画を増やせば単価はMAXに近づくのですが、現実的には・・・

    2区画・・・現実的パターン

    このパターンは道路負担が無くなり、若干ですが掛かる経費も少なくなります。

    しかしながら、面積を増大させた分、購入者の層が減りますので、単価は下げなければいけません。

    2区画で売却した場合の計算がこちら(click!)


    単価設定が難しくなるのですが、10.5万円まで下げても3区画のパターンより手取りが増えます。

    今回の田んぼのある地域は、10年昔に比べ土地の単価が落ちている為、広めの敷地を求めている人の割合が増えていますので、こちらのパターンで売却するのが正解だと考えます。

    総額が増える分、購入者が限られることが最大のネックですが・・・。

    その分東西の幅が確保出来ている事と敷地が広い事で、建物の配置で困る事は少ないでしょう。

    現実的には13~15万円くらいの単価で販売するような形になると考えられるので、やはりこのパターンが私のおすすめでした。

    この場合、2組の買主を見つけてくることになります。

    リスクとして、1区画が売却でき、2区画目の売却に時間が掛かる可能性があります。

    注意事項

    ここでは売主様の手取りを少しでも多くするために、1区画ごとに買主を見つけてくる”仲介”の形を取っています。

    農地法の運用や開発行為にあたる場合などで、不動産業者などが一括で購入しなければいけないケースも存在しますので、その場合は不動産業者の利益分や経費分が掛かる為、更に手取りの金額が減る事になります。

    田んぼや畑を売る場合は、農地法を始めその他の関連法規をクリアする必要があるのでケースバイケースで出来る出来ないがあります。

    その様な調査はプロに任せるのが正しいと思います。

    地主さんの現実の反応

    地主さん
    え、4,000万円はするんじゃ・・・?

    整形地で200㎡くらいに区画できれば単価は確かに18万円でいいと思います。

    それには道路の負担や造成工事が必要で、その説明はありましたか?

    地主さん
    いや、全く無かった。

    もし私の説明で納得できないのでしたら、真剣に向き合ってくれる、他の不動産屋にでもきちんとした査定をしてもらってください。

    ほとんど差が無く、同じ内容の説明をされると思いますよ?

    後日、ご自身で納得された様子で、
    あんたにまかせるから、売ってきて!
    とのお言葉を頂きました。

    田んぼ等の農地の売却の場合には、その立地条件や形によって価格が変化します。

    そこには他にも、水道や排水、雨水の排出状況や、道路との高低差等の生活に関する要素を考慮していく必要性があり、正確な知識を持って、正確な査定をする必要性があります。


    農地の売却で失敗しないように、正しいプロの相談相手を見つけることが大切ですね^^


    売れない農地が増えています


    現実的なお話として、既に売れない=金額がつかない田んぼや畑が日本全国に増えています。

    これはもはや当たり前の事ですが、人口減少、過疎化の影響で、土地が余りまくっている情況だからです。

    この傾向は当然、年々ひどくなっていきますし、処置の仕様がなくなっていくのは目に見えています。

    今回の例の様に、住宅地として・・・など、需要のある用途があれば処理もできますが、農家をしない以上、どこまでもついて回る不良資産となり得ます

    日本全国でその現象は進行し続けているので、一刻も早く何らかの手を打っておく事が重要なのです。

    売却、賃貸など、有効活用ができる内にしておくべし!

    もちろん農業をされるのであれば問題はありませんが、あなたの置かれている状況や将来を見据えて、農地のプロに相談するのが正解です。

    タダでも貰ってもらえない田んぼや畑お金をあげてでも引き取ってもらわなければいけない田んぼや畑が現実に増え続けている事を強く認識してくださいね。

    私は10年くらい前からこの事は言い続けていますが、実際に売却をした方には感謝しかされません。

    逆に何らかの活用をしなかった方は、完全に耕作放棄地と化しているケースがほとんどです。

    あと数年すれば、お金をあげてでも引き取ってもらわなければいけない田んぼや畑ばかりになってしまう事をイメージできれば、あなたが今のうちに動かなければいけない事は理解できると思います。

    他人事では無いですよ!?

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