「農地転用、トラブル、不動産売買契約、ローン特約、白紙解約」等で検索された方の為のページです。
今回は実際に現在進行形で起こっている、農地転用を必要とする、住宅ローン特約つきでの不動産売買契約についてのトラブル事例です。
いわゆる停止条件が付いている情況での売買契約なのですが、世の中には無茶を言う不動産業者も存在するので、農地転用におけるトラブルに巻き込まれない為にも、ぜひ参考にして下さい。
農地転用申請を含む不動産の売買契約のトラブル実話
これは私が生息する地域で起こっている、真面目なお話です。しかも、結構大きな不動産業者が取引に介在している案件です。
また実務に長けていない不動産業者や担当者である場合には、農地転用において起こり得るトラブルでもあります。
売買契約のcheckpoint
- 売買物件は農地である為、農地転用5条申請の許可が必要・・・契約上は売主の費用負担での申請(申請は売主・買主双方)
- 売主にて宅地造成完了後の引き渡し
- 売主にて測量分筆
- 買主の住宅ローン特約あり・・・期日の記載あり
- 売買契約時、買主は独身・55歳・・・住宅ローンの事前審査は通過
- 地域ではメジャーな不動産業者の仲介
- 売買契約は9月1日(手付金有り)、住宅ローンの特約期日が9月末
といった内容でした。
よくあるパターンの普通の売買契約の内容だったのですが・・・。
まず、契約内容としては、停止条件が買主・売主双方の要因としてつけられています。
この2つがクリアにならなければ、売買契約は成立しません。
2つの条件がクリアにならない時は、白紙解約・・・最初から何も無かった事にしましょうね
という内容です。
売買契約締結後、当たり前の作業として、
売買契約後の流れ
- 住宅ローンの本申し込み (買主)
- 住宅ローンのO.K (買主)
- 測量・分筆 (売主)
- 農地転用5条申請 (双方)
- 農地転用許可 (双方)
- 造成工事着手 (売主)
- 工事完了後、所有権移転
というのが流れです。
売買契約は9月1日、住宅ローンの特約期日が9月末なので、買主は9月末までに住宅ローンの本申し込みをし、了解を取る必要があります。
当然、一般の方だけでは作業がはかどらないので、不動産業者が段取りをし、確認作業を行う事が当たり前なのですが・・・
中には買主さんに任せて、ノータッチにする不動産業者さんもありますので、段取りはしなかったとしても、ローンの可否の確認は当然取る必要があります。
住宅ローンが否決であれば、そもそもの契約が成立していない訳ですから、何はさておき、住宅ローンの可否の確認が一番です。
売買契約締結後の出来事
買主の動きの流れ
- 買主さんは住宅ローンの本申し込みを9月5に申し込み
- 9月20日に不許可の知らせが銀行より有り・・・団体信用生命保険に加入できないから
- 9月25日 生命保険や保証人等他の条件と別商品で、再度審査申し込み
- 不動産業者より連絡が無かった為、そのまま10月へ入る
- 10月15日 銀行より再度すべての条件での否決の連絡有り
- 11月28日 宅建協会・県の宅地建物指導係へ相談・・・期日が超えている為、白紙解約は無理であるとの答え
- 11月29日 某法律家へ相談・・・そもそも契約が成立していないとの解釈。 ⇒ 不動産業者への文書での問い合わせ
不動産業者の動き
- 9月2日 測量の手配
- 9月30日 測量の成果が上がり分筆申請
- 10月15日 農地転用申請
- 11月25日 農地転用許可
- 11月26日 買主に許可の下りた旨の連絡と、12月1日から造成工事にかかる旨の説明。・・・ここで初めて、住宅ローンについての確認と連絡
- 11月27日 銀行への確認後、住宅ローンの他金融機関への再申し込みの要請。・・・ダメであった場合手付金の没収と、造成工事代を含む費用についての請求の告知
- 12月3日 手付金の返金と白紙解約への合意
簡単にまとめるとこんな感じの流れです。
いくつか突っ込むべきポイントがあるのですが、そもそも先程説明した、住宅ローンの可否の確認が一番という過程を一切無視して、勝手に作業が進められて行った事が最大の問題点です。
結果的に買主は住宅ローンが組めない体でした。
事前審査が通っていても、これはあり得る事です。
当然可能性として、それを疑い、確認する必要があります。
不動産業者が何を考えていたのかわかりませんが、測量に着手する前に資金の裏付けを確認しなければいけないのは、小学生でもわかる事です。
測量は売主にとっていずれにしても必要不可欠な行為なので、その段階で確認できていなくても(売主が行う行為なので)、農地転用の申請時には買主・売主双方の委任が必要です。
つまり、農地転用の申請時には必ずその意志確認と状況把握が出来ていたはずなのです。
これも勝手に売買契約書に基づいて段取りし、作業をすっ飛ばしたわけですね。(農地転用に伴い、有印私文書偽造などの別のトラブルも起こり得ます。)
農地転用の許可が下りてからの連絡って・・・
しかも、ローンが不許可である事を受けて尚、
期日が経過してしまっているから、解約できません。
あなたの契約違反です!
費用を請求します!
払って下さい!
あなたの契約違反です!
費用を請求します!
払って下さい!
等と言ってくるのですから、買主さんはタマッタモンではありません。
更にヒドイことに、宅建協会や県の宅地建物指導係でも同じことを言われた・・・買主さんのテンションがガタ落ちであった事は想像に易いですね。
で、最後の頼みの綱として某法律家に相談された訳ですが・・・^^
不動産業者への意見の内容
- そもそも買えない人であるから、売買契約は成立していない ⇒ 白紙解約
- 売買契約締結後、何の確認も連絡もなく、何を報告していいのかすらわからない状況であり、勝手に作業を進められている・・・あなた方の業務は何の為ですか?
- 何の確認も同意も無く、農地転用の申請をされてもこちらには非が無いので、費用の請求に応じる必要は無い
- 造成工事も事情を知ったうえで進める意図がわからない。 ⇒ 費用の請求に応じる必要は無い
- 売買契約が成立していて、こちらの契約違反であるという根拠を明確に示してください。
概ね、こういった内容の書面を送付しました。
するとどうでしょう。
手のひらを返して、
白紙解約で、手付金はお返しします。売買契約書は返してください。
と言って飛んできたそうです。
最終的には面倒くさいと思ったのかもしれませんが、とにかく会社として責任を取らなくていい様に、金銭的負担を買主に求めてきた為に起こったトラブルとも考えられます。
不動産業者の格言的な言葉で、
「言うのはタダ!」
「言ったもん勝ち!」
「とにかく言え!」
と教えられたものですが、まさにそんな感じですね。
決して責任を取ろうとしない・・・。
面倒くさくなりそうなら手の平を返す・・・。
不動産業者って怖いですね。
確かに、期日が経過ししまっている部分は、多少の落ち度が買主に有るかもしれません。
しかし、その農地転用におけるトラブルを防ぐために存在するのが不動産業者のはずです。
売買契約に対して、その内容の把握と、確認作業はどんな素人の不動産業者であっても、絶対にしなければいけない事です。
皆さんも、もし万が一、こういった農地転用や売買契約においてトラブルに巻き込まれた際は、プロに相談される事をお勧めします。
白紙解約後の出来事
実は話はここで終わっていません。先日、今度は売主さんが私の所へ相談にやってきました。
費用を請求されたけど、売買代金で清算する予定だったから、困っているんだ・・・
当然、かかった費用の支払いはどこかでやってきますが、今回の場合は売主さんも同意して進んでいる事ではないそうです。
測量までは同意していたので、既に支払いを済ませていたそうなのですが、農地転用についてもハンコを押したわけでもなく、造成工事についても「12月1日から入ります」と言われただけで、解約の事については後日知らされたそうで・・・。
売主さんの状況
- 測量代金は支払い済み
- 農地転用の費用を請求されている・・・同意していない
- 造成工事の代金も請求されている・・・解約の話をそれまでに聞いておらず、お金の当てがない
この話も滅茶苦茶ですね・・・。
私であれば、工事業者さんに支払いを待ってもらうとか、売却できるまで立て替えて支払っておくとか、対応策を取りますが、先に請求をしてくるあたり、如何にも不動産屋ですね・・・。
そして、これだけでは済まないデメリットが売主さんには発生してしまいます。
売主さんの苦難・デメリット
- 農地転用のやり直し
- 原状回復命令の可能性
- それらに伴う費用の負担
どういうことかというと、今回の売買契約が白紙解約になった為に、次の買主さんが現れた時には、
売主さんはこのデメリットに気づいておらず、今回の費用について悩んでいたのですが、更に悩みを加えてしまいました。
ここで考えて欲しいのが、
「不動産屋が仕事をしなかったせいで、費用が請求され、尚且つ余分な費用まで払わなければいけないのか?」
という事です。
今回のケースでは明らかに不動産業者に落ち度が見受けられます。
なので、
という内容でアドバイスさせて頂きました。
皆さんも、不当な請求(気づかない場合も含め)には、断固戦うようにしましょう。
不動産業者は、ホント、悪魔みたいなのが多いですから。
この様な方もおられるんですね。
残念ながら、これはかなりの確率で不動産業者が無知であっただけでしょう。
農業委員会や行政書士が面積制限や、細かい要件を知らない・確認しないなんてことはあり得ません。
この中の登場人物での不動産業者は素人だったと思われます。
他人や行政のせいにするのも、悪い不動産屋の特徴だったりしますからね。
農地転用でのトラブル まとめ
農地転用を要する売買契約においては、停止条件や細かな条件を突き詰めて決めておく必要があります。本来プロであるはずの不動産業者も、担当者や企業レベルでは、その内容や業務自体を理解していない可能性があります。
なので、十分にその内容を把握したうえで、段取りを踏んで進めていく必要があります。
判断の方法として簡単な方法は、
「ダメになった場合はどうなるの?」
と言う事を突き詰めておくと良いでしょう。
いずれにしても農地転用については、不動産業者ではなく行政書士に確認しておく方が無難と言えるでしょう。