農地転用とは?農地を売る手続きについて

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農地を売る時に必要な手続きは?

農地の売買では、農地として売るか農地以外で売るかによって必要な要件は異なりますが、手続きは同じです。

農業委員会から許可(市街化区域では届け出)を得なくてはなりません。

そもそも許可が得られないような内容の売買契約は契約行為にも該当しませんし、得られるための要件を整え手続きをするのが、不動産屋や行政書士といったプロの仕事になります。

その許可を得るために必要な手続きとして

  1. 測量(境界査定)・分筆

  2. 土地改良区等の意見の聴取

  3. 水路の使用や架橋の許可申請

  4. 敷地の利用計画の作成

  5. 資金の証明

  6. その土地が必要な理由

  7. 近隣への被害などの想定
等があります。

これらは転用しようとしている地域や、自治体で運用が違いますので、必要な項目が増減します。

所在地によって変わるので、地域のプロへ依頼するのが正解でしょう。

地主
自分の土地を自由に使って何が悪い!
と聞こえてきそうですが、許可なくされた売買は無効になり、原状回復命令などがでる場合もありますので、法律は知らなかったでは許してくれないのです。

農地を売る時の大まかな流れ

農地売買では売買契約は、農業委員会の許可を前提として締結されます。

農地農地として売るなら農地法第3条による売買(所有権移転)許可、農地農地以外で売るなら農地法第5条による転用許可(届出の場合もあります)が必要です。


農地売買の手順
  1. 許可を前提とした停止条件付の売買契約締結

  2. 農転の為の準備(上記の測量等の手続き)

  3. 農業委員会への許可申請(届出)

  4. 農地転用許可
  5. ※地目変更
  6. 代金決済と所有権移転
  7. ※地目変更

許可されると農業委員会から許可書が交付され、許可書がなければ農地の所有権移転登記は受け付けてもらえません。

許可のない違法な所有権移転を防ぐために、このような仕組みになっています。

農地法の形式



権利の移転(売買等)や、利用の目的によって、クリアすべき農地法の種類が異なります。

上記の通り、

  • 農地としての売買であれば第3条許可申請(市街化区域にも適用)

  • 第3者へ売買する転用行為であれば、第5条許可申請(市街化区域は届出)

  • が必要である為、どちらの売却方法になるのかを確認する必要があるのです。


    農業委員会で不許可になった場合

    農地転用許可は必ずしも許可されるとは限らないですが、通常は無駄な努力と時間を使わない為に、前以て農業委員会などと打ち合わせを行い、ほぼ間違いなく許可になる状況を作って売買契約を行います。

    それでも万が一を考え農地の売買契約書では、不許可になった場合の条項も定めておきます。

    不許可になった場合は、売買契約が許可を前提としている性質上(停止条件)、当事者からの申し入れがなくても、当然に売買契約が失効して違約金も通常発生しません。

    停止条件が成就しなかった場合は白紙解約となり、契約を行う前の何もなかった状況へ戻すのが通常です。

    ただし、不許可を理由としない一方の都合による解約(違約の場合)では、一般的な不動産取引と同様に、買主の手付金放棄または売主の手付金倍返しになります。

    農地を転用して売る場合の注意点

    農地転用には基本的に2つのパターンがあります。

    1. 農地の所有者が自ら農地以外の用途で使用する目的
    2. ・・・第4条

    3. 他者への売買(所有権等の権利移転)を目的
    4. ・・・第5条

    クリックで拡大します


    農地の所有者が自ら使用するための転用は、農地法4条による転用許可が必要で、売買が目的の農地法3条や5条による転用許可とは扱いが異なります。

    自己目的と売買目的では、根本的考え方が違うからです。

    先に自分で転用(4条)してから売却するか、売却と同時に転用(3条、5条)するかという違いではありません。
    農地法の転用申請はその申請内容に沿った事業行為が行われているかどうか?という事が確認された後に農地法の対象から外れますので、申請内容と異なった事が行われている場合や何もされていない場合は、最悪農地転用の取り直しや訂正(計画変更)原状回復行為が必要になる事があります。

    転用はどちらが先でも同じように思えますが、転用許可の制度上、単に転用する許可申請は認められず、転用後の事業計画とその実施が重要なのです。

    宅地なら建物を建てる計画、雑種地なら駐車場や資材置き場などの計画が必要とされ、転用許可後は速やかに計画を実行する必要があります。

    そのため、先に転用する場合は、申請した転用目的を一旦は達成しなくてはならなくなり、売買が目的なら先に転用する(4条)方法は非効率です。

    転用して売る」という言葉をよく見かけますが、自己転用である4条申請と第3者へ名義移転する5条申請とを混同した説明をよく見かけますので、この点は十分注意しましょう。
    おそらく市街化区域の届出で先に転用できる行為と混同していると思われます。

    ただすぐには売れなくても、耕作もできない事情があるなら、一旦は比較的費用がかからない駐車場に転用して、長期的に売り出す方法は十分考えられます。

    また農地を農地として売買した場合は、地域にもよりますが概ね3年間は転用ができない事も知っておきましょう。

    農地を守り保全するために3条の許可で売買したにもかかわらず、すぐに分譲なんかが始まったらおかしいですよね?

    要は転用の目的とその実施経過によって農地法の対象から除外されるまでは、農地法の範囲の中での縛りがあるという事です。


    よくある間違いの例

    (2)農地を別の地目に転用して売却する場合

    農地を宅地など別の地目に転用して売れば、売る相手に条件はありません。ただし、転用するためには「立地基準」と「一般基準」の2つの条件をクリアする必要があります。「立地基準」は農地の区分によるもので、原則として転用できる可能性があるのは「第2種農地」「第3種農地」に分類される農地のみです。保有している農地がどの農地に分類されるのか、まずはお住まいの市区町村に確認しましょう。
    引用元:ここ


    地目を転用する・・・???地目変更するって事だと思いますが、市街化区域の農地以外で先に地目変更するって事は4条申請を行っている事になります。

    運用上、当面はその目的のまま利用する必要があるので、100%間違ってはいませんが、実務上は間違っている答えです。



    土地化して売却する方法がおすすめ!
    関係の深い方と取引をするのであれば、上記のように農地のまま売却しても良いでしょうが、見ず知らずの方に向けて農地を売却するのは非常に困難です。

    今と全く違う地域で農業をしようとしている方など、そうそういるわけではないからです。

    この場合は、まず更地にしたあとで売り出すことをおすすめします。引用元:ここ


    こちらも同じで、土地化するには4条申請をする必要があります。

    目的を達成し、農地法が外れるまでは売買が出来ません。(もしくは転用申請のやり直し)


    仮に時間的な事を無視して1年以上(地域の運用によって違います)経過した後に売る場合でも、固定資産税は跳ね上がりますので、その間の経費のリスクも存在します。

    そして万一、売れなかった場合は・・・目も当てられませんね。

    これらは、おそらく市街化区域の農地と混同しているのでしょう。

    机上の知識だけでかかれた60点くらいの答えなので、正しい答えの確認がその都度必要になります。



    農地を売る場合に必要な費用

    農地の売買に必要な費用
    • 仲介手数料・・・不動産屋
    • 不動産業者を介して売買をする場合は必要です。

    • 農地転用の申請費用・・・行政書士
    • 売主・買主双方で申請する、申請の代行をしてもらう費用です。

      素人が行うと、かなり高い確率で失敗するか、必要な書類をそろえるのに苦労します。

    • 測量・分筆費用・・・土地家屋調査士
    • 農地転用の意見書を発行してもらう為に、境界査定を行う必要が(地域によって違いますが)あります。
      また、500㎡以上を1度に転用できない申請の場合は、分筆をする必要があるので、土地家屋調査士に依頼します。

    • 造成費用・・・土木業者
    • 農地転用の意見書を発行してもらう際に、どのように造成し、どのような排水計画を取るのか?といったような、計画図が必要です。

      それによって周辺に影響を及ぼすような場合は、土地改良区から工事内容について注文が付いたりします。

    • 架橋申請費用・・・土地改良区・行政
    • 敷地に入る為に水路の上に架橋をする場合は、行政や土地改良区の承諾と、費用が発生します。

    • 雨水放流費用・・・土地改良区・行政
    • 転用することによって、水路に雨水を流すことになる場合には、水路の管理者に対してその許可と費用が発生します。

    といったような費用がケースによって必要です。

    農地を売る時に関係する法律とは

    農地の売却に関係する法律を簡単に列挙してみます。

    • 農地法

    • 都市計画法

    • 建築基準法

    • 宅地建物取引業法

    • 埋蔵文化財保護法

    この5つの法律が真っ先にクリアしなければいけない法律です。

    では順番に見ていきましょう。

    ここでは売却したい土地について、開発許可の基準面積は1,000㎡(地域によっては2,000㎡等で規定されています)とします。

    農地の状況と目的
    • 地目:田 地積:1200㎡ 
    • 開発許可の基準面積は1,000㎡
    • 用途地域:指定なし(非線引き) 
    • 目的:個人住宅・宅地分譲・建売分譲

    農地法

    基本的に農地の売買には、農地法の許可及び届け出が必要です。

    市街化区域の農地については届け出で大丈夫なので簡単です。

    市街化調整区域及び非線引き区域については、県知事の許可が必要になります。

    農地 ⇒ 農地・・・農地法第3条の許可

    農地 ⇒ 宅地・・・農地法第4条・及び第5条の許可

    細かい部分については改めてご紹介したいと思いますが、基本的には農地法の3・4・5条のいずれかの許可が必要です。

    また、宅地分譲や建売分譲の様な業としての目的ではなく、個人が個人住宅を建てるというようなケースでは、1件につき概ね500㎡という面積の制限も出てきます。

    農地の売買が目的の場合は、農地法第5条の許可(届出)が必要なので、ここでは5条申請を前提で話を進めます。

    都市計画法

    今回の設定が1200㎡なので、一回の売却で第3者に転売する(農地法第3条や資材置き場、駐車場経営といった目的ではなく)、家や店舗を建てる目的での売買となると、都市計画法における開発許可が必要となります。

    ※地域によっては2,000㎡までO.Kの地域もありますので、監督部署にての確認が必要です。

    開発許可というくらいですから、開発許可を受けれる要件が当然存在し、該当しない場合は一括での売却は出来ません。

    幹線道路まで4mの幅員が必要であったり、工事の内容や細かい部分について周辺の同意が必要であったり、かなり大変です。

    開発許可の要件を満たさない、該当しない場合は、切り売りをしたりその他の方法を考えなければならず、1期・2期といった形での売却になったりします。

    「合計1,000㎡未満までの区画が売却され、建築の完了後(転用の目的の完遂)から一定期間」は農地として置いておく必要があります。

    この一定期間は地域によって基準があるので、その都度確認が必要です。

    建築基準法

    家を建てるには1件の家につき、建築基準法上の道路に幅員が2m以上接道していなければなりません。

    単純に5件家を建てようとすると、10m幅の接道が必要になります。

    これでは分譲地等の場合、1件につき2m(5区画あれば10m必要)だと非効率なので、位置指定道路や開発道路といった建築基準法上の道路をつくる事により4mや6mの幅員の道路で、建築が可能になります。

    いずれにせよ、家を建てることが可能になるようにしなければ土地としての価値が生まれませんので、基本中の基本の法律です。

    宅地建物取引業法

    宅地分譲や建売分譲を行うには宅地建物取引業の免許が必要です。

    また個人の方が反復継続して(運用基準では年間2回)、不動産の取引を行う際にも宅地建物取引業の免許が必要ですし、農地法でも引っかかるケースもあります。

    要は利益を得ている「」の形態の場合は、宅地建物取引業の免許が必要なのです。

    埋蔵文化財保護法

    埋蔵文化財保護法の指定地域内の土地であれば、建築などを行う際には前もって、試掘調査を行う必要があります。

    文化財がある確率が高い地域が、範囲として設定されているので、当たる確率は結構あります。

    私も文化財が出てきたことがあります。

    はっきり言って、”人生が終わった”と思いました。

    文化財が試掘調査で出てくると、その後はお役所の言いなりです。

    最悪なぜだか、自腹で文化財を掘り起こさなければいけません。

    リスク負担の問題もあるので、埋蔵文化財保護法の指定地域の場合は要注意です。

    保存行為・・・その現場を保存するような処置をすると建築ができるようなケースも存在するので、やって見なければ分からない、所有者からすると若干ご無体な法律なのです。

    その他に上記の5つ以外にも、面積や立地地域によって、国土利用法・宅地造成等規制法・古都保存特別措置法・生産緑地法・景観法・土地区画整理法、etcの法律がたくさんあります。

    個人の方では調査を完璧に行うには、ハードルがかなり高いと言えるでしょう。

    なので何となく、クリアすべき法律がたくさんあって、”少しヨイショが必要である”くらいの認識で良いかもしれませんね。

    農地の価格の算出の仕方とは

    農地の売買する時の価格は、前面道路の状況や、高低差、排水経路や給水設備など、一般的な宅地にする為の状況や費用を考慮し、周辺の宅地相場から勘案して、農地の価格は算出されます。

    農地を農地として買う人が激減しているので、価格の算出はあくまで宅地の価格から逆算して割り出していく、というのが一般的です。

    進入道路が必要な場合はその負担を考慮し、造成が必要な場合は造成費用を考慮する・・・。

    あくまで転用を前提とした査定となるので、農地転用等によって農地法や関係法規をクリアできることが条件になります。

    農地の売買をしたことがある不動産会社であれば、そういった調査や法律の調査については当然できますので、詳しい価格を知りたい場合は下記のサイトから複数の不動産業者に査定依頼してみましょう。

    間違っても賃貸屋さんに査定してもらう行為はやめましょう。

    出来る”と”やったことがある”は似て非なるものです。

    知ってる”と”経験がある”では違いますよね?

    無料で査定してくれます。




    農地を売る手続き まとめ

    農地の売買で押さえておく事
    1. 転用許可申請で売却できる農地か?
    2. 農地の売買の目的は?
    3. 農地法はクリアできるか?
    4. 農地法以外の法律はクリアできるか?
    5. 上記がすべてクリアできるとして価格は?

    農地を売買するには、これらを全て調査し確認する事が重要です。

    農地の売買は、農地が持つ重要な役割から、農地法という厳しい法律で規制されています。

    また農地以外に転用できるかどうかで、売買価格も買い手も方法も異なります。

    農地転用が可能かどうかを知りたいのであれば、農地区分を農業委員会に確認してみるのが確実でしょう。

    売買や農地転用には農業委員会の許可が必要で、しかも許可されるまでには2ヶ月程度(届出による場合は10日程度)要するため、手間も時間もかける覚悟は必要です。

    とはいっても、

    今更農地を耕作するわけではない・・・

    草刈りなどの手間や費用がかかる・・・

    法律的な事やややこしい事は全く分からないし、面倒だ・・・

    といったような悩みを抱え、売却を考えられている方は多いと思います。

    そんな場合は、法律的な事や解決策を含め、売却について無料で相談できる一括査定サイトを利用しましょう。

    何となく農地の売却についてはわかったような、わからないような・・・という感じだと思いますが、農地の売買は関わる法律や作業が多く、クリアしなければいけない事がたくさんあります。

    仮に個人で全ての行為を行ったとしても、浮かせれる部分は不動産屋の仲介手数料くらいです。

    面倒な作業と、売買の責任の問題もあるので、

    お金だけ持ってきて~

    といったスタンスで、専門家に任せるのが良いでしょう。

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